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香川真司 9年前

剥き出しの闘志と新システム。絶望のドルトムントに見えたわずかな希望。香川とロイスのツー・シャドーが機能

text by 本田千尋 photo by Getty Images

苦況から脱出へ、2部を相手にも全員が必死で戦う

 前半から香川は奮戦した。10分、右サイドでソクラティスからボールを受けると、ダウベとクルトを相手にボールをキープしてクロスを上げようとする。

 17分、香川がオーバーラップしたソクラティスにボールを落とす。ソクラティスの折り返しをインモービレが突き刺したが、オフサイド。43分には右サイドで香川がロイスにボールを送る。ロイスの折り返しをドゥルムはわずかに左に外した。香川はゲームを通して、チームの戦いに貢献し続けた。

 そして前半終了間際の44分、カウンターから飛び出したインモービレが左サイドを深く抉って、ロイスへと折り返す。ロイスはダイレクトで鮮やかに突き刺した。

 前半の結果でほぼ決着は着いてしまった。1発勝負のカップ戦は何が起こるか分からないが、やはり2部と1部ということで、ザンクトパウリとドルトムントの間には決定的な力の差があった。かといってこの試合がドルトムントにとって新しいフォーメションの実験の場だったかというと、決してそうではない。

 香川が「チームとして本当に今苦しい状況」と言う、リーグ戦での15位という絶望的な状況を振り切ろうとするかのように、香川を始めとして、ドルトムントは誰もが必死で戦った。

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