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“健全なライバル関係”。豪州側から見た、日豪両代表の立ち位置とは?

日本とオーストラリアが対決した18日の親善試合は2-1で日本が勝利した。アジアカップを見据えたこの試合、両国の立ち位置はどうだろうか? 豪州の選手・監督・記者の意見をまじえて見ていく。

text by 植松久隆 photo by Getty Images

ニールが語った「日豪の関係はヘルシー」の意味

 18日、例年よりも冷え込んだ深秋の大阪で戦われた日豪戦。アジアで共に認め合うライバルの日豪両国がアジアカップの貴重な前哨戦を戦った。ホームの日本が2-1と勝利した試合で、両国ともにブラジルW杯の惨敗での忘れがたい蹉跌を経験した2014年を締めくくった。

 筆者は、日本のサッカー・ファンに“手に届くアジアのライバル”豪州のサッカー・シーンを発信している立場もあって、第3国以外で行われる日豪戦には可能な限り駆けつけることを自らに課してきた。

 同時に、それらの試合終了後のミックスゾーンで、時のサッカルーズのキャプテンに「日豪両国のサッカーにおけるライバル関係をどう捉えるか」という問いを“定点観測”的にぶつけてきた。

“健全なライバル関係”。豪州側から見た、日豪両代表の立ち位置とは?
ニールの表現を借りると、日豪戦は「アジアで最もヘルシーなライバル関係」【写真:Getty Images】

 しかし、今回はキャプテンのミレ・ジェディナクにその質問をすることが叶わなかった。試合後のミックスゾーンには、両軍の選手がランダムで現れる。ひとりの選手のコメントを取りながらも、後に続く選手の動向をチェックしていなければ大事な狙いの選手を取り逃しかねない。そういう展開のあやもあって、今回はジュディナクに大事な質問をするタイミングを逸してしまった。

 前主将のルーカス・ニール(既に引退)は、日豪戦の度に問われる質問に毎回「良い質問だ」と言ってから答えてくれたものだ。ニールの表現を借りると、日豪戦は「アジアで最もヘルシーなライバル関係」。ここでの「ヘルシー」とは、「健康的」と訳すよりは「健全」と訳すのが適切。

 ニールは、日韓戦を念頭に置いたうえで、政治的意味合いや国民的感情などのイデオロギーに関わる要素が存在しない日豪戦を健全なライバル関係と評価したのだ。選手もファンも純粋にサッカーでのライバル関係で切磋琢磨できる――それこそが、日豪戦のあるべき姿である。

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