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Jリーグ 9年前

鹿島が誇るJ屈指のレフティ遠藤康。日々のシュート練習が生んだ初の2桁得点。逆転Vへ「まずは自分たち」

鹿島アントラーズはリーグ1位の得点数を記録している。柴崎岳、土居聖真、小笠原満男らどの選手も不可欠な選手だが、遠藤康の存在も忘れてはならない。高い技術に加え今シーズンは新しい武器を手にした。

text by 青木務 photo by Getty Images

初めての二桁ゴール

 32節の川崎フロンターレ戦、前半終了間際に鹿島アントラーズが試合を動かした。

鹿島が誇るJ屈指のレフティ遠藤康。日々のシュート練習が生んだ初の2桁得点。逆転Vへ「まずは自分たち」
遠藤康【写真:Getty Images】

 遠藤康の左足から放たれたボールが、美しい放物線を描きながらゴールへと吸い込まれる。GKを嘲笑うかのように頭上を越す一発だった。

「トラップした瞬間にいいところにボールを置けたので、シュートのイメージが浮かんだ」

 完璧と呼べるゴールは、自身にとってキャリアハイとなるシーズン10点目。怪我で離脱しているダヴィに並び、チーム得点王である。

「(2桁には)届かないんだろうなとは思っていた」と本人は冗談交じりに話していたが、こう続けた。「ああいう形でチームの勝利に貢献できるゴールで良かったかなと思います」

 168cmと小柄だが、腰回りが強くがっちりとした体躯はどんな相手もブロックできる。この川崎戦で決めたゴールもそうだ。柴崎岳の縦パスを受ける時、ボールと相手の間に体を入れた。遠藤の軸は全くぶれず、相手ディフェンダーはバランスを崩した。

 スピードに恵まれたタイプではないが、彼のドリブルを止めるのは容易ではない。巧みに相手の逆を取りながらスルスルと前進していく。間合いの取り方が絶妙だから相手もチェックにいくタイミングを掴めない。

 2006年、将来のエース候補という期待を受けて鹿島に入団。2007年から2009年でJリーグ3連覇を果たしたチームにあって、数年間は出場機会が限定された。それでも2010年から試合に絡み始めると、次第に欠かせない存在へと成長していった。

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