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Jリーグ 9年前

「和製アンリ」からの脱皮。横浜FM伊藤翔が見せる本格派ストライカーへの進化

昨年は最後まで優勝争いを演じながら今季は中位をさまよった横浜FM。移籍したマルキーニョスの穴を埋めるのは容易ではなかったが、伊藤翔が飛躍のきっかけを掴もうとしている。

text by 青木務 photo by Getty Images

「和製アンリ」からの脱皮。横浜FM伊藤翔が見せる本格派ストライカーへの進化
横浜F・マリノスの伊藤翔【写真:Getty Images】

 前節、史上3チーム目のホーム200勝を達成した横浜F・マリノス。この試合で唯一のゴールを決めたのが伊藤翔だ。スコアレスで迎えた58分、クロスを右足で合わせてネットを揺らした。

 決して簡単なゴールではなかった。左サイドから奈良輪雄太が折り返すと、相手選手に当たりコースが変わる。その中でファーサイドにいた伊藤が懸命に足を伸ばした。

 試合後、得点シーンをこう振り返っている。

「あそこにいるのもそうだし、予備動作でディフェンダーを外すのが大事。前半はヘディング1本あったんですけど、あれも似たような形というかコツを掴んだ感じはあった。その通り結果に反映されて良かった」

 前半アディショナルタイムの決定機も左からのクロスだった。ファーにポジションを取っていた伊藤は中に走り込んでヘディングシュートを放っている。これは相手GKのファインセーブに阻まれたが、これが決勝ゴールの呼び水となっていた。

 この試合は、マリノスにとってホーム最終戦だった。昨年は2004年以来のリーグ制覇こそ叶わなかったが、最後まで優勝争いの主役を演じた。それを考えれば今シーズンの結果は到底納得できるものではない。前節を終えて7位と中位をさまよい、悔しい1年となってしまった。

 今シーズン限りで樋口靖洋監督が退任し、シーズン終了後にはクラブを去る選手も発表されていくだろう。最後のホームゲームを勝利で締めくくれたことはポジティブに捉えていい。伊藤自身もこのゴールの重要性を理解している。

「ゴールを決めてチームが勝つのがフォワードにとって一番いいのは間違いないし、今年最後のホームでいろんな人がチームから離れていくという状況で決められたのは一番良かった」

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