香川を突き動かす“東北への思い”
そこでふと思い浮かばれるのは、ソチオリンピックのフィギュアスケート男子で優勝した宮城県仙台市出身の羽生結弦のことだ。
2月17日付の読売新聞によれば、「羽生が急成長を遂げてきたのは、自分のためだけでなく、被災地の人々に何かを伝えるという大きな目標が、使命感となってその体を突き動かしていたからだ」という。
香川はかつて2001年から05年の5年間、羽生と同じく宮城県に住んだ。そして震災の直後、2011年4月11日付のキッカー紙では、その「キャリアの土台が作られた」東北への想いを口にしている。
アンデルレヒト戦後に「ミスが続いたときには、メンタル的なところが一番左右して来る」と香川は語った。であればここでもう一度、その「メンタル」を東北に向けても良いのではないか。
復興は終わっているようで、決して終わってはいない。19歳のスケート選手がそうして心を駆り立てたように、かつて東北に住んだ者として、昔の香川がキッカー紙に「サッカー選手として(被災地の人に)少しでも希望や勇気を持ってもらう」と語ったように。
同じくアンデルレヒト戦後に香川は「戦って、死にものぐるいで勝ち点3を取る」と闘志を口から絞り出した。昔の香川の成功があって、今のブンデスリーガに10人以上の日本人選手がいることを考えれば、その能力に疑いはない。
冒頭のケールの言葉を、誤解を恐れず言い換えれば、「人々は香川が全盛期にもたらした香川の成果を期待すべきではない」が、東北の痛みを直に感じることの出来る香川には、かつて被災地に向けたメンタルを改めて持ち直すことを、すぐにでも期待したいところだ。
それには「時間を幾分か必要と」しないだろう。
【了】
フットボールチャンネルfacebookはこちら→
フットボールチャンネルTwitterはこちら→
関連リンク
ドイツが独自に試みる「個」へのアプローチ「ライフキネティック」理論とは何か?
フットボールサミット第13回 香川真司取扱説明書 KAGAWAの活きる道