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香川真司 9年前

「少しでも希望や勇気を」。かつて東北へ向けた思い。香川を“闇”から救い出す鍵となる

text by 本田千尋 photo by Getty Images

香川を悩ませる「昔との比較」

 9日のアンデルレヒト戦の後に「精神的に本当に苦しい状況」と述べたように、その現状を誰よりも重く受け止めているのは、他ならぬ香川本人である。香川は、この苦境を脱しようと必死でもがいている最中にある。

 そして、今のドルトムントについて「チームとしてバラバラにならないことが一番」と言うように、チームのバランスも考えている。不調のチーム、不調の自分。胸中は、察するに余りある。

 香川はドルトムントの選手なので、香川個人の復調が、少なからずドルトムントの復活へと繋がることは間違いないだろう。もちろん香川を欠いたまま、ドルトムントが上位という本来あるべき位置に戻っていく可能性もある。

 事実、最下位で迎えたホッフェンハイム戦ではトップ下にギュンドアンが入り、チームは1-0で勝利を収めた。香川に出番は与えられなかった。その辺りはまた「質の高い選手がいる中でどうやって生き残っていくか」と本人も自覚するところである。

 しかし、ケールの言う「彼が全盛期にもたらした彼の成果」を振り返って見れば、ドルトムントの復活にやはり香川は欠かせないと、誰もが口を揃えるだろう。だから復帰した香川の、背番号「7」のユニフォームは飛ぶように売れたのだ。

 そして問題はそこにある。「昔と比較される」と、香川は言う。ドイツメディアは試合後の個人採点を付与する際に、「昔」の香川を基準にしているところがある。

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