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青いピッチ、スローイン廃止の提案。我が道を行く男、マンU指揮官ファン・ハールは奇才か? 名将か?

text by マーテン・メイヤー photo by Getty Images

主審は二人、それに加えて映像確認用の審判が必要だ

 さらにファン・ハールによれば、主審は二人必要であり、ラインズマンの代わりに、映像でプレーをチェックする審判を一人起用するのが望ましいという。

「ラインズマンの仕事は、スローインとオフサイドを判定することだとされている。ラインズマンはファウルを目にした場合にも手旗を振るが、10回中9回までは、主審がホイッスルを吹いてからようやく旗を上げるような具合になっている。

 今日では、オフサイドを判定するのが極めて難しくなってきた。試合のペースが早くなってきているから、ボールが蹴り出された瞬間に複数のFWの位置を見極めるのは基本的に不可能だ。ボールの動きと選手の動きを同時に見極められる人間など、誰もいない。

 我々には二人の主審が必要なんだ。バスケットボールやアイスホッケーと同じようにね。

 二人の審判がピッチを半分ずつ受け持ち、対角線上にポジション取りをする。その上でボールの位置に応じて動くようにすれば、選手を背中側からもチェックできる。この二人の主審をサポートするのが、コンピューターの画面で試合をモニターする3人目の審判だ。

 我々はテクノロジーを最大限に活用すべきだと思う。テクノロジーは常に公平な判断を下すし、人間のように間違いを犯したりもしない」

 ただしファン・ハールは、このようなアイディアがFIFAの役員に一笑に付される可能性があることも認識していた。

「そのことはわかっているよ。あそこには頭の固い老人連中が山ほどいる。連中はサッカーのことを、さほど真剣に考えていないような印象を受ける。自分の役職や立場、そして予算を確保していくことしか考えていないんだ。

 サッカーは世界で最も人気のあるスポーツだが、運営を手がけているのは、逆に最も保守的な人々だ。連中は(自分の権益を守るためであれば)、我々のスポーツの未来を平気で危険にさらそうとする。

 だが私がサッカーの将来について考えることを、止めさせることはできない」

ルイ・ファン・ハール書籍は12月19日発売

『ルイ・ファン・ハール 鋼鉄のチューリップ』
定価2268円

【目次】
まえがき 我が道を行く男
第1章 若き日々。サッカー選手としてのファン・ハール
第2章 スパルタとAZの明暗
第3章 アヤックス、そしてオランダ学派
第4章 鋼鉄のチューリップ
第5章 アムステルダムでの黄金時代 など

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