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日本代表 9年前

八百長関与で揺れるアギーレ監督。日本サッカー協会に任命責任はあるか?

text by 植田路生 photo by Getty Images

遅かった事件発覚からの対応

 動きが遅かったのは言うまでもない。最初の報道があった段階で、正確な情報を掴むためにスペインへ関係者もしくは協会幹部を派遣し、現地の皮膚感覚を探るべきだった。告発されるまで2ヶ月もあった。自分たちが理論武装し、選手やファンに不安を与えないような対処ができたはずだ。

 危機意識の薄さが一層疑念を抱かせたと言っていいだろう。例えば、メディアとのこんなやりとりだ。

記者「八百長への関与が現地で報道されたみたいですが?」
協会「やっていないと本人は言っています」or監督「私は断じてやっていません」

 実に曖昧で何が聞きたいのかはっきりしない質問であることに論を俟たないが、あまりにつっけんどんな回答ではないだろうか。そもそもこの質疑応答が雲をつかむようなもので、あらぬ憶測を生む要因になってもおかしくない(メディアが八百長への知識が希薄なのも大きな問題だ)。

 八百長は定義が難しい。不正があった試合は八百長試合と言えるが、どこまでが八百長を“やった人”なのか。今回のケースで言えば、選手、監督、クラブ関係者、審判、金の受け渡し人のどこまでが“やった人”でどこまでが“関与した人”であるのか。明確な線引きはしにくい。人によって考え方も違うだろう。

 だからこそ、協会が率先して“八百長とは何か”を定義すべきだ。そして、今回のケースではアギーレ監督がどこまでの関与した(もしくは関与なし)かを説明し、その上でアジアカップでの指揮は問題ない、と発表していれば、不安感も少しは解消されただろう。

 日本代表の選手たちは「監督を信じるだけ」と気丈に振る舞うが、このようなコメントをせざるを得ない時点で、アジアカップはマイナスからのスタートになってしまったと言える。

 なぜこのような騒動になってしまったのか。大きな要因は、リーダーシップの欠如だ。

 何か問題が起こったとき、どのようにそれに対処するかでリーダーとしての資質が見える。W杯で惨敗した後もトップの座に居続ける大仁会長は、この問題に対して何度、公に顔を見せただろうか。

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