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日本代表 9年前

大勝したパレスチナ戦で見えた攻撃の形とクオリティの課題

アジアカップ初戦、日本代表はパレスチナ戦を4-0と快勝した。アギーレ監督が思い描く攻撃の形が見えた一方で、大会を勝ち抜くに向けて課題も浮き彫りとなった。

text by 河治良幸 photo by Getty Images

アギーレスタイルを表した先制点

大勝したパレスチナ戦で見えた攻撃の形とクオリティの課題
遠藤の先制点は理想ともいえる形だった【写真:Getty Images】

 パレスチナから4得点を奪い幸先の良いスタートを切った日本代表。強風の影響や交代選手の連携不足もあり、ビルドアップや仕掛けの精度に関しては大きな課題が見られたものの、アギーレジャパンが目指す攻撃のベクトルがよく表れた試合だった。

[4-3-3]のシステムではアンカーの選手がセンターバックの間に入り、3バックを形成してサイドバックを高めに上げる形が基本となる。日本代表でもアンカーの長谷部が深い位置に下がり、吉田と森重がワイドに開いて、その間でボールを動かしながら、高い位置で起点になれる選手に縦パスを付ける形を取っている。前半に流れから決めた2つのゴールはアギーレ監督の攻撃スタイルを見事に表したものだ。

 1点目はシンプルな展開を遠藤がうまく活かす形でもたらされた。GK川島からボールを受けた長谷部が左の森重に展開すると、森重は自陣を持ち上がったところから同サイドの乾に縦パスを通す。そこから乾が2人のディフェンスを引き付けて中のスペースにパス。遠藤が正確なファーストタッチから右足を振り抜き、グラウンダーのシュートをゴール左に突き刺した。

 遠藤の見事なミドルシュートが決まった形ではあるが、序盤に何度か似た形から高い位置に進出していた。立ち上がりには長友のクロスから岡崎がヘッドで流し、ゴール右で本田が合わせた場面があったが、その時も遠藤はバイタルエリアでフリーになっていた。

 というのもパレスチナの2ボランチはサイドに起点を作られると、揃ってワイドにスライドする傾向があり、しかもDFラインはボールと日本の前線に合わせて後ろに下がっていくため、その手前にぽっかりとスペースが生じるのだ。そうした状況を最初の数プレーで把握していたのだろう。距離こそ25メートルほどあったがボランチと共にセンターバックのブロックも外しており、形としては完全に相手を崩したゴールだった。

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