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「サッカー本大賞2015」授賞式レポート&受賞者 喜びの声

text by サッカー本大賞実行委員 photo by editorial staff

「翻訳サッカー本大賞」受賞作翻訳者・実川元子氏インタビュー

「サッカー本大賞2015」授賞式レポート&受賞者 喜びの声
実川元子氏【写真:編集部】

――「翻訳サッカー本大賞」受賞おめでとうございます。

「ありがとうございます。翻訳者っていうのは、本当は陰に隠れているものなので、このような晴れの舞台で賞をいただくのはたいへん恐縮です。サッカー本というのはなかなか売れないジャンルなうえに、このような重厚な作品を出版するのは難しいのではないかと考えていたのですが、こうして翻訳出版させていただけたことが本当に嬉しいです」

――本書を翻訳出版するキッカケは?

「最初に本書を読んだときに、サッカー雑誌の書評で紹介させていただいたのがキッカケですね。それから担当編集者と翻訳出版の話を進める中で、これでいきましょうという話になり、ブラジルワールドカップ直前に出版することになりました」

――2014年ブラジルワールドカップはGKの大会と言われていますが、どんなふうに本大会をご覧になっていましたか?

「個人的には、やったー! と思っていました。本書の著者ジョナサン・ウィルソンはイギリスだけじゃなくて、世界的にも博覧強記のサッカーライターなんですね。ライターというか、もはや学者ですね。そういう人が古今東西、GKというポジションに絞ってこれだけのものを書いたっていうのはそれだけで凄いことだと思います」

――GKの歴史を知るという意味でもたいへん貴重な本ですね。

「フットボールの創世記には、キーパーはいなかったんです。新たにGKというポジションが作られていく過程において、国ごとの文化を背負ったGKが出てくるっていうのをここまで分析した本っていうのは今までになかったので、資料本としても本当に貴重ですね。GKというポジションの社会的なアウトサイダーとしての位置づけから、文化論に結びつけたのは流石だなと思いました」

――今後はどんな人に本書を読んでほしいですか?

「サッカーファンはもちろん、文化史や歴史に興味のある方にもぜひ読んでいただきたいと思っています。GKに焦点を当てながら、戦争とサッカーっていうものが社会や人々にどんな影響を与えたのかが非常によくわかる本なので」

――最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いいたします。

「この本を読んでいただくことで、GKというひとつの特殊なポジションの重要性と、キーパーたちがチームにおいてどんな役割をしているかということへの観方が間違いなく変わります。サッカーの観方や社会におけるサッカーの位置づけが少し変わって見えてくるんじゃないかと思います」

【了】

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