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不正会計の愛媛FCへの制裁発表も不可解な点残る。悪しき前例となる可能性も

text by 編集部 photo by Getty Images

不正会計の愛媛FCへの制裁発表も不可解な点残る。悪しき前例となる可能性も
村井満チェアマンが愛媛FCの不適切な会計処理についての制裁内容を発表【写真:Getty Images】

 23日、Jリーグは都内で記者会見を開き、村井満チェアマンが愛媛FCの不適切な会計処理についての制裁内容を発表した。

 愛媛FCは2012年(平成24年度)と2013年(平成25年度)の決算において、収入の過大計上と経費の過少計上していた。本来は当期純利益が2期連続で赤字になっていたものを黒字に見せていた。元経理担当者が伝票を未入力にするなどしていたという。

 制裁内容はけん責と300万円の制裁金。Jリーグ規約第3条「遵守義務」第2項(Jリーグの目的達成を妨げる行為および公序良俗に反する行為を行ってはならない)と第23条「健全経営」第3項(書類に虚偽の記載をしてはならない)に違反。「総合的に判断し制裁内容を決定した」とチェアマンは語った。

 会見では会計処理の流れについても質問が出たが、チェアマンはクラブの役員などからの意図的な指示・命令はなく組織的な関与はないことを強調。また、「元経理担当者による横領・着服はない」とも説明した。

 Jリーグクラブライセンス交付規則には、「虚偽の報告があった場合には財務基準は満たさない」などの記述がある。チェアマンは愛媛FCの虚偽報告については認めたが、「3年連続赤字でなく債務超過でない」ためライセンスの発行には問題ないという見解を示した。

 今回の制裁は規約に則ったものだ。とはいえ、横領もなく元経理担当者が個人的な判断で粉飾決算を行うだろうかという疑問の声もある。制裁理由には「過度の悪質性は見受けられなかった」という文言もあるが、一般社会では粉飾決算は厳しく罰せられる行為だ。

 今後同様の事例が明るみになったとしても、今回が前例となり厳しい対処ができない可能性もある。また、Jリーグの監督責任もあるはずだ。チェアマンは「ちゃんと調べれば(不正は)すぐわかるもの」とも述べていたが、ではなぜ早く気づかなかったのか。

 制裁は決定したが、不可解な点が残ると言わざるを得ない。

【了】

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