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本田圭佑 9年前

かつての栄光はどこへ…。中位クラブと成り下がったミラン。本田も“歴史”を動かせず

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

名実ともに10位前後のチームとなったミラン

 以上のデータを見れば、より多くのパスを出しながら効果的な攻めが出来ず、チャンスの数でキエーボを下回った。そして、ボールをキープしながらも相手に奪われ、カウンターの脅威にさらされる中でより多くクリアで逃れることを強いられたといえるだろう。

 結局のところ、重要なのは質であり量ではない。前半45分の間、トップ下に入ったボナベントゥーラは、アタッキングサードで13本のパスを出しながら縦方向はゼロ。そのほとんどが相手を避けるための横パスかバックパスであり、メネズとデストロと前線に2人がいながらも、その2人にボールを当てるシーンは少なかった。

 もちろん、これはボナベントゥーラだけの責任ではなく、チーム全体の形や共通したイメージがないことが要因である。

 この日、最大の得点チャンスとなったのは、後半開始から投入された本田が48分に放ったバー直撃のシュートだろう。もし、このシュートがネットを揺らしていれば試合の結果も内容も、本田自身の立場も大きな変化を生む“歴史が動いた瞬間”となっていた可能性もあったため、実に悔やまれる。

 それでも失点せずに90分を終えたのは、やはりアンカーのデヨングの存在が大きい。『Squawka.com』のパフォーマンススコアでは、GKディエゴ・ロペスに次ぐ44点と高評価を与えられた。

 この試合の結果、2015年に入ってミランは2勝3分け4敗。しかし、その2勝は最下位パルマと19位チェゼーナ。いわば、“マストウィン”な相手だ。下位のチームを相手に勝ち点を落とさないことは重要だが、サッスオーロやトリノといった順位も近く拮抗した力を持つ相手に勝ちを挙げられないのは痛い。

 80年代から90年代にかけて欧州トップクラスの強さを誇り、06-07シーズンにもCL制覇するなど栄光に包まれたミランは、約10年を経た現在、名実ともに10位前後を争うクラブと成り下がってしまった。

【了】

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