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豪州サッカー、一時代の終焉――。“スキンヘッドのテクニシャン”ブレシアーノに贈るトリビュート

オーストラリア代表を長年支えてきたマーク・ブレシアーノが代表引退を発表した。イタリアで成功を収め、スキンヘッドという独特の風貌ながら高いスキルで愛されてきたレジェンドの軌跡をたどる。

text by 植松久隆 photo by Getty Images

ルオンゴの台頭。押し寄せた世代交代の荒波

豪州サッカー、一時代の終焉――。“スキンヘッドのテクニシャン”ブレシアーノに贈るトリビュート
マーク・ブレッシアーノの代表引退は、豪州サッカーのひとつの時代の終わりを意味する【写真:Getty Images】

 アジアカップ前に「今大会を最後に代表引退を示唆」の報道もあって、いつかは来るものと覚悟していたが、やはりそれが正式に発表されるとなると寂しいものだ。

 サッカルーズのベテランMFマーク・ブレッシアーノの代表引退は、豪州サッカーのひとつの時代の終わりを意味する。言い換えるならば、アンジ・ポスタコグルー監督が推進してきた「世代交代」が最終段階に入ったとも言える。そんな、一選手の引退には留まらない象徴的な引退発表だった。

 ブレッシアーノは、豪州のサッカー界で一時代を築いたいわゆる「黄金世代」の選手で、絶対的エースのティム・ケーヒルと並んで、ポスタコグルー体制への移行後も替えの利かない選手として重用された数少ないベテランのひとり。

 監督の信頼の厚いベテランとして、アジアカップを制した代表チームに名を連ねたブレッシアーノにも世代交代の荒波は容赦無かった。監督が自ら発掘したマッシモ・ルオンゴという新星が台頭していく中で、ポジションを争う形になる彼のチーム内での序列は相対的に下がっていった。

 キャリアの集大成として臨んだアジアカップでは、ルオンゴが初戦から大活躍を見せスターダムに駆けあがっていったことで、なかなか存在感を発揮できないまま消化不良に終わってしまった。この大会のブレッシアーノは、3試合に出場したもののフル出場は無かった。

 予選の2試合(クウェート戦、オマーン戦)では、先発したルオンゴが「お役御免」で退くときに替わってピッチに入る役回りで、完全に扱いは、ルオンゴの「控え」。準々決勝の中国戦では、ルオンゴと並んで先発61分に交代するまで2人が共にプレーしたが、これが2人の最後の競演となった。

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