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奇跡を夢見たシャルケ、王者の余裕を見せたレアル。1点の間にある埋めがたい差

text by 本田千尋 photo by Getty Images

最後の1点を許さなかったマドリー

 それでもシャルケは諦めなかった。ロナウドは同点となるゴールを挙げたが、マドリーの調子は一向に上がらない。試合後に監督のアンチェロッティは「この試合について多く話せることはない。どうして我々がこんなにも悪くプレーしたのかを説明することは難しい」と述べている。40分、マイヤーのシュートをカシージャスが弾いたところに、フンテラールが詰める。2-1。

 再びシャルケに希望が湧き始める。もう1点を取れば、アウェイゴールの差で勝ち抜けが決まるのだ。そんなときにロナウドは仕事をする。45分、コエントランの左からの折り返しを、難なくヘッドで突き刺す。2-2。ディマッテオは「ロナウドは1stレグで違いを作り出したが、今夜もまたそうだった」と振り返っている。

 そして53分、ベンゼマに逆転を許す。2-3。ディマッテオが「我々は偉大なゲームをやってのけて、勝ち抜けを夢見たよ」と語ったように、それでもシャルケは追い縋った。57分、サネが鮮やかなミドルシュートを決める。80分に内田篤人が投入された4分後には、カウンターから、中央のサネからのなんということはないスルーパスに、レアルの4バックは対処することが出来ない。裏に抜け出したフンテラールが豪快に再逆転弾を決めた。4-3。

 しかしマドリーが最後の1点だけは譲ることはなかった。試合終了の笛が鳴る。2ndレグこそシャルケの勝利だったが、合計スコアは4-5でマドリーの勝ち抜けが決まった。

 結果的に差は1点だったが、それでもシャルケとマドリー、両者の間にはそれ以上の開きがあったと言わざるを得ない。それはロナウドの存在だけではない。アンチェロッティは30分間と予告したとおり、約4ヶ月ぶりに怪我から復帰したモドリッチの試運転を行なった。サネによって同点に追いつかれた直後、58分のことである。

 ハラハラするようなシーソーゲームの中で、アンチェロッティにはそれだけの余裕があったのである。

【了】

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