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優勝候補バイエルンはなぜ完敗したのか? “ペップ・スタイル”を逆手に取ったポルトの知性

チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝1stレグが開催された。ポルトの本拠地エスタディオ・ド・ドラゴンに乗り込んだバイエルンは開始10分で2失点を喫するなど、1-3で敗れた。ブンデスリーガでは圧倒的な強さを誇るバイエルンだったが、この結果の裏にはポルトの指揮官フレン・ロペテギの見事な采配があった。

text by 本田千尋 photo by Getty Images

ポルトに完敗のバイエルン

優勝候補バイエルンはなぜ完敗したのか? “ペップ・スタイル”を逆手に取ったポルトの知性
2ゴールで勝利に貢献したリカルド・クアレスマ【写真:Getty Images】

 思い起こされるのは、シャルケの内田篤人の言葉だ。2月18日に行われたチャンピオンズリーグ(CL)の決勝ラウンド1回戦、ホームでの敗戦の後で、内田はレアル・マドリーについて次のように述べている。

「いいチームは個もあるし、クラブの連携もある。どっちかだけじゃない」

 マドリーを目の当たりにした内田の言葉を借りれば、個と組織が高い次元で融合したチーム、それがCLという大舞台での「いいチーム」ということになるだろうか。

 それからおよそ2ヶ月後の4月15日、同じくCLの準々決勝、アウェイでバイエルンはポルトに1-3で敗れた。完敗だった。

 開始後10分間で、バイエルンはポルトに2点を奪われてしまう。試合後にラームは「僕たちは常に後方からビルドアップをしようとするけど、このスタイルは危険なものになることもある」と振り返る。

 試合が始まって1分、「後方からビルドアップをしようとする」バイエルンに対して、クアレスマ、マルティネス、ブライミの3トップがじっくりと対峙する。そしてボールが、DFラインまで下がったアロンソに入ったときだった。マルティネスがスピードを上げてボールを奪う。エリア内でノイアーに倒されて、PKを獲得する。クアレスマが決めて、ポルトが先制する。

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