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香川真司 9年前

現実を突き付けられたドルトムント。退任の指揮官、引退の元主将。そしてチームは“新たな人生”へ

ドルトムントを世界のトップグループへと引き上げたユルゲン・クロップ監督の最終戦が終わった。ドイツカップをかけたヴォルフスブルクとの決戦は敗戦。それでも指揮官と引退する元主将ケール、そしてチームにとって新たな人生はスタートする。

text by 本田千尋 photo by Getty Images

「フットボールはリクエストに応えてくれる音楽会なんかじゃない」

現実を突き付けられたドルトムント。退任の指揮官、引退の元主将。そしてチームは“新たな人生”へ
セバスティアン・ケール【写真:Getty Images】

 望みは叶わなかった。セバスティアン・ケールは「フットボールはリクエストに応えてくれる音楽会なんかじゃない」と言葉を残した。2015年5月30日、ベルリンで行われたDFBポカール決勝でドルトムントはヴォルフスブルクと対戦する。

 先制点を奪ったのはドルトムントだった。5分、右サイドでドゥルムが戻したボールを香川がダイレクトでクロスを入れる。オーバメヤンが右足で合わせて蹴り込んだ。1-0。序盤のヴォルフスブルクは動きが固かった。左SBのロドリゲスが残った格好となり、オフサイドを取り損ねてしまう。

 ヴォルフスブルクとのポカール決勝は、辞任する監督クロップと引退する前主将ケールにとって、本当の意味で最後の試合だった。

 ケールは言う。

「儚い望みにしがみついていたよ。シーズンが終わった後には、ここでもう一度タイトルを獲得することが出来るとね」

 オーバメヤンによる幸先の良いゴールの後では、ケールの望みは現実のものとなりそうだった。ベンチから戦況を見つめたクーバ(ブワシュチコフスキ)が「試合の入り方は本当に良かった」と振り返るように、しばらくドルトムントが優位にゲームを進める。

 6分にペリシッチのシュートに対してランゲラクが好セーブを見せ、8分には香川のサイドチェンジからシュメルツァーがそのまま左サイドを上がって、中央に折り返す。ここはオーバメヤンには合わない。

 ドルトムントはカリジュリとペリシッチの左右のSHに対して、主にシュメルツァーとドゥルムの両SBがしっかりフタをする。ヴォルフスブルクに素早いカウンターを許さなかった。16分、GKベナーリオからのフィードを受けるペリシッチを、フンメルスが潰す。

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