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Jリーグ 9年前

FC岐阜、低迷の根幹に迫る。クラブの正しいあり方とは?

text by ミカミカンタ photo by Getty Images

本当の意味でのチーム一丸とは何か?

 今のFC岐阜を見ていると現場とフロント、そしてそれを取り巻く関係者が一体になって理念・目標に向かっているという感じがほとんどしない。それぞれがバラバラに違うことを考え、それぞれの違う価値観で仕事をやっているように見える。

 なぜそう見えるのか? そこには当然理由があるはずだ。理念に沿ったクラブとしてのグランドデザイン(ビジョン)と、それを現実化するための具体的な手段。つまりは戦略と戦術。かつてピーター・ドラッカーがビジネスの場に持ち込んだこの戦争用語はサッカーの世界では当たり前に考えられてきた。それが岐阜では見えにくい。クラブにもチームにも。

 恩田社長が現在進行中の難病を抱えて大変な状況にあることは重々承知している。その上であえて言わせてもらうが、クラブの社長である限り、組織内部の役割と責任、権限といったものをはっきりとさせ、一定の規律と秩序を確立するのはプロサッカークラブという組織において急務ではないだろうか。

 目先の対症療法だとこの先やっていけなくなってしまうのはクラブの長くはない歴史がすでに教えてくれている。選手や監督・コーチなど、現場の人間が目先にこだわるのは理解できるが(彼らは毎日・毎試合が勝負だ)クラブ全体としてそうであっては理念や目標には近づけないのではないかと心配になる。

 クラブが目指しているのは今日・明日のことではなく、未来永劫にわたってホームタウンの人々に自分たちの存在を通して幸せを提供することではないのだろうか? 恩田社長はそのことを誰よりもわかっているはずだ。

 岐阜のサポーターはいま折れそうになる気持ちを仲間同士で支え合いながら、一体感を持って何とか前に進もうとしている。一昨年までのクラブ存続の危機から学び、クラブのためにできることは何でもやろうとしている。クラブの誰であっても、彼らの目の届かないところでその気持ちを踏みにじるようなことがあってはならない。

 一刻も早く原因療法に取り組み、みんなが一丸となって理念・目標に向かう姿を見せて欲しい。

 張りぼてで作った大きなものでなくていいから、等身大の、だけど実のつまった小さな幸せを望んでいる人は多いのではないかと想像するのだがいかがだろうか。

【了】

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