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無制限の予算を誇るPSG、FFP緩和でメルカートの主役へ。強欲会長が描く壮大プロジェクト

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

アトラクションに飢えるPSGサポーター

 話は冒頭に戻るが、ディ・マリアが獲得できた場合、再三再四、トップでプレーすることを熱望していたカバーニが念願のポジションをゲットできることになり、結果として押し出されるのはイブラヒモビッチ、というわけだ。

 スウェーデン代表の巨砲は、昨季も19得点とチーム最多ゴールをマークしたが、カバーニも18得点と得点力に大差はない上に、良くも悪くも「オレ様プレー」でパストーレら周囲の選手の持ち味を打ち消すこともあるイブラと違い、ディフェンダー並に守備にも貢献する献身的で謙虚なカバーニはパルク・デ・プランスでの人気も上がる一方だ。

 クラブに加入してからのリーグ3連覇と、昨季達成した国内前人未到の4冠ゲットで、イブラのお役目は十分に果たされた感もある。

 アトラクションに飢えているPSGのサポーターたちにも、ベッカムという超目玉が去って久しいこの頃は、現状に飽きている雰囲気が漂っている。

 それに、現メンバーではPSGの一大目標であるCL優勝には十分でないのはクラブ幹部以下誰の目にも明らかだ。

 そこに、ちょうどいいタイミングで「古巣のミランがイブラを呼び戻したいと希望している」というニュースがイタリアから舞い込んできた。ミランだけに、レオナルドの姿もちらつくこのディール。

 PSGの要求額は550万ユーロ(約7億4800万円)程度だというから、「よろしければ引き取ってください」的な扱いであることも透けてみえる。

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