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セリエA 9年前

“可変式4-3-1-2”という形がみえたミランと“補強待ち”のインテル。ミラノ両雄の展望を探る

text by Keiske Horie photo by Getty Images

方向性をみせたミランと形が定まらないインテル

 この日、負傷のリスクを回避するために控えメンバーを先発出場させたインテルに対し、ミランは約半数を主力で挑んだ。

 ミランは報じられた通り「4-3-1-2」を基本布陣としている。トップ下に入ったのは日本代表FW本田圭佑だ。本田の役割で特徴的なのは攻守バランスの舵取り役。守備時にはアンカーのMFナイジェル・デヨングの脇までポジションを下げ、中盤で「4+4ブロック」の形成に参加する。

 この動きはチャンピオンズリーグ決勝でユベントスのマッシミリアーノ・アッレグリ監督がMFアルトゥーロ・ビダル(現バイエルン・ミュンヘン所属)に課した役割に近い。高度な戦術理解度が必要とされる役割だ。

 攻撃時のミランは主にサイドバックを使ってボールを前進させFWアレッサンドロ・マトリとFWエムバィエ・ニアンが裏を狙っていた。本田の役割はサイドに流れたりFWと同じく裏を狙うことが多く、相手の守備ブロックの間でボールを受け中盤と前線のリンクマンになることは少ない。

 後半からはトップ下をMFジャコモ・ボナベントゥーラに変更。加入したばかりのFWカルロス・バッカとFWルイス・アドリアーノも途中投入し、両選手ともにまずまずの動きをみせた。もちろん未だチームは“発展途上”の段階だが、明確な方向性がみられる試合内容は期待を抱かせるものだった。

 一方でインテルは控えメンバーが主体だったこともあり、前半は全くチームの形がみえないまま試合が進む。フォーメーションは「4-3-3」で、かねてより指揮官が希望していた形だ。

 インテルは昨季よりマンチーニ監督の志向するサイドアタックを実現できないという問題を抱えている。昨冬に獲得したMFジェルダン・シャキリとFWルーカス・ポドルスキがうまくウイングに順応せず、結局シーズン途中で4-3-1-2への変更を強いられた。

 その問題は現在も解消されておらず、この日も後半に主力メンバーを投入したものの実験的な「3-5-2」で戦うなど試行錯誤の状態が続いている。

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