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大型補強のマンUが抱える2つの不安要素。プレミア優勝に必要なこととは

昨季のプレミアリーグを4位で終えたマンチェスター・ユナイテッドは、大金を投じて次々とビッグネームの獲得に成功している。しかし、3シーズンぶりとなるプレミアリーグ優勝に向けて、不安要素もあるようだ。

text by 山中忍 photo by Getty Images

今夏も大型補強を敢行したユナイテッド

大型補強のマンUにいまだ足りないピース。プレミア優勝に必要なこととは
ユナイテッドは今夏も大型補強を行った【写真:Getty Images】

 昨夏に続き、今年も夏の移籍市場で活発なマンチェスター・ユナイテッド。7月前半の内に、前線にはメンフィス・デパイ、中盤にはバスティアン・シュバインシュタイガーとモルガン・シュナイデルラン、最終ラインにはマッテオ・ダルミアンという計8000万ポンド(約152億円)近い即戦力が獲得された。

 昨季開幕前のルイス・ファン・ハール監督就任に伴う補強の必要性は明らかだった。チームは、サー・アレックス・ファーガソン元監督の勇退をプレミアリーグ優勝で飾った2012/13シーズンの時点で過渡期にあった。その上、後任にデイビッド・モイーズを迎えた翌シーズンは、開幕前の補強失敗も影響してトップ4漏れという体たらくだったのだ。

 それにしても実際に積極補強が続いている事実は、さすがユナイテッドと言わざるを得ない。米国人オーナーが持ち込んだ負債も巨額だが、クラブの収益力も巨大。国内ライバルに先駆けて力を入れてきた国際マーケティングの成果も手伝って、ユナイテッドの「ブランド力」は高レベルで安定している。

 今年1月に『デロイト』社が発表した数字によれば、7位転落で過去最悪と言われた一昨季でさえ、レアル・マドリーに次ぐサッカー界2位の4億3300万ポンド(約823億円)の収益を上げている。

 今夏の大型補強には2年目に臨む指揮官の決意も反映されている。就任と同時に「優勝」の期待さえ寄せられた名将にすれば、昨季のトップ4返り咲きは最低限度の目標達成。今季はタイトルレース参戦が必須と理解できる。

 実際、昨季王者のチェルシーに17ポイント差をつけられた首位との距離は縮まるだろう。最大の弱点と思われたのは、昨季は駒不足でウェイン・ルーニーまで駆り出された中盤中央。ところが今季は、高さのあるマルアン・フェライニを前線寄りで起用してもセンターハーフを選べる。

 マイケル・キャリックは足首を手術した昨夏とは違って開幕から出場可能。2年目のダレイ・ブリントとアンデル・エレーラには昨季以上が期待できる。そこに、シュバインシュタイガーとシュナイデルランというバイエルン・ミュンヘンとサウサンプトンの前「要人」が加わっている。

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