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日本代表 9年前

「縦に速い=カウンター」にあらず。失敗に終わったハリル監督の“実験”

text by 西部謙司 photo by Getty Images

ポゼッションすればそれなりの攻撃はできるが…

「縦に速い=カウンター」にあらず。失敗に終わったハリル監督の“実験”
日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:Getty Images】

 先制した中国がスローダウンしたこともあって、日本はボールを支配して主導権を握っている。中国のライン間が空いているので、そこへ縦パスをつないで攻め込むことができた。

 日本のサイドバックはどちらも本職ではない。右の丹羽はセンターバックで左の米倉は本来右サイドバックである。そのせいなのか、ビルドアップ時の両サイドバックのポジショニングが低かった。しっかりプレスをかけてくる相手だったら、この形のビルドアップでは手詰まりになって困難な状況になっていたと思う。

 ただ、幸いにも中国の守備組織とファンクション(機能、働き)は精度が低く、日本は森重と槙野が中央の「間」にいる選手に楽にパスをつなぐことができた。後半に興梠と柴崎が入ると、バイタルエリアまでは頻繁に入れている。

 だが、当初の狙いだったであろうカウンターは3試合ともあまり上手くいっていない。前線のターゲットにボールが収まらなかった。収められる人材がいないなら、ロンドン五輪のように永井の走力を生かしたほうが良かったかもしれない。

 ポゼッションして「間」をとり、奪われたら前線からプレス。それで中国に対して優勢だったことはとくに収穫とはいえない。低い位置に引き込んでカウンターという実験は失敗に終わっていて、このままではザッケローニ前監督時代の3-4-3と同様にフェードアウトの危険すらありそうである。

【了】

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