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日本代表 9年前

3戦未勝利に失望感、新戦力見極めに終始も…。山口&遠藤航の新世代ボランチの示した日本の未来

text by 元川悦子 photo by Getty Images

新世代のボランチコンビとして未来に光明を

「ボールを奪う回数は蛍君の方が多かった印象があるんで、そういうところはお手本にしたいですけど、ボールを奪う意識やタテにパスをつけながらゴールにつながるプレーを出すことはもっと向上できるかなと思いましたね」と大きな手ごたえをつかんだ様子だった。

 もちろん2人ともパス出しの工夫という点では足りないところがある。それは山口自身が「俺か航か2人のどっちかがもう少しアイディアのあるパスを出さないと。やっぱり普通に回してるだけでもダメだと思うし、そこはもう少し意識して変えていかなくちゃいけない」と発言したように、彼らも自覚している点だ。

 中国が引いて守ってカウンターを狙ってきた分、中盤で余裕を持てたのも事実。今後は違った戦い方をしてくる相手にも今回のような落ち着きを示せるかどうかという点にも取り組んでいく必要がある。

 こうした課題はあるものの、2人が日本の新たなダブルボランチ像の一端を垣間見せてくれたのは間違いない。遠藤保仁(G大阪)と長谷部誠(フランクフルト)への依存が長年問題になっていたこのポジションの未来に光明が差したと言っていいだろう。

「そうなればもちろんいいですけど、僕としてはボランチはすごく層が厚いと思ってます。岳(柴崎=鹿島)もできますし、リオ世代だったら大島僚太(川崎)とかもいるんで、それに勝ってかないといけない。

 今回はたまたまボランチとして僕が出れたと思っているだけ。自分自身、やるべきことをやって、もっと成長しなきゃいけないと感じてます」と遠藤はあくまで謙虚な物言いを崩さなかったが、球際の強さ、激しさという武器を持った2人のコンビが研ぎ澄まされていけば面白い。

 彼らにはこの先、今大会で味わった日本全体の失望感を力強く払しょくする存在になっていってほしいものである。

【了】

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