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“勝負弱い日本”変えることができるか? 育成年代で始まった新たな改革

text by 川端暁彦 photo by Akihiko Kawabata

地域の指導者だけでなく、JFA内の意識改革も

 また従来のナショナルトレセンが「JFAのお手本を地域の指導者に示す」という色を感じさせたのに対し、今回は地域の指導者を主役とし、彼らを立てようとしていたのも印象的だった。

 山口委員長は「JFAが偉いわけじゃない。僕らの仕事は地域で頑張っている指導者たちのサポートなんだ。その姿勢を忘れちゃいかんのですよ」と強調。「JFAではいま『原点回帰』ということを強調していて、今回もその一環。いままでは運営を業者に任せていたが、今回はJFAの職員にも手伝ってもらって全部自前でやっています。移動も宿泊も会場設営も全部JFAが手作りでやる。

 でも、地域に行けば、それは当たり前のこと。今回の地域トレセンの指導者も、ほとんどは本来の仕事を休んでやって来ている。手弁当でサッカーに情熱を注いでくれている。そういう人たちがあってこその日本サッカー。それをJFAの職員も知らないといけません」と、今回の研修会がJFA内の意識改革まで狙ったものであることを明かしてくれた。

 閉会式で山口委員長は選手たちの奮戦を讃えた上で、「でも、ここにいる選手がすべてじゃない。『次は俺だ』『絶対負けない』と努力している選手が必ずいる。今回感じたことをチームに戻っても継続してほしい」と呼び掛けた。

 子どもたちに向けた言葉だったが、これは同時に指導者やJFA職員に対しての言葉でもあっただろう。新しい形で開催となった今回の研修会は、「大成功と言っていいと思うよ」(山口委員長)というポジティブな余韻を残しつつ、閉幕を迎えることとなった。

【了】

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