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気温30℃以下のプレミアリーグで給水タイムが設けられた理由。選手を守るために求められる暑さ対策の推進と理解

text by 舩木渉 photo by Getty Images

暑さのリスクに対し正しい知識と理解を

 これまで選手を蝕む暑さはパフォーマンスを低下させ、試合のクオリティを損なうことも指摘されてきた。90分間の中での走行距離に変わりはなくとも、スプリントの回数が減ったり、テンポの遅い間延びした展開になったりする。

 暑さは選手のプレークオリティを低下させ、身体が水分を失うことで運動能力が落ちる。さらには熱中症のリスクが増大し、最悪の場合命を落としてしまうなど様々な実害をもたらす。

 サッカーは選手たちがいなければ成り立たない。その選手を守らなければならないのは当然のことだ。日本でもここ数年夏場の気温上昇が問題になっているが、地球全体で温暖化が叫ばれる中で、それはヨーロッパも例外ではない。

 ある日本の若手女子サッカー選手は言った。「試合前の準備はもちろんのこと、試合中も自分と向き合いながら、喉が渇いてから(水を飲むの)では遅いですし、そういったところを徹底してやれば熱中症は防げる」と。

 日本ではピッチ上の選手たちが暑さの危険性を認識するようになってきており、水分補給や熱中症対策の重要性はサッカー界に浸透しつつある。だがそれでは十分ではない。ピッチ外にいる指導者、スタッフ、ファン、メディア、協会…サッカーに関わるあらゆる人々や組織が選手を守るため、暑さのリスクに対して理解を示す時が来ている。

【了】

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