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日本代表 9年前

物足りないカンボジア戦3-0。「決定力不足」以上に深刻な「決定機不足」を招いたハリルの采配

text by 藤江直人 photo by Getty Images

リスクを冒す姿勢が求められるイランでのアフガニスタン戦

 後半に入ると、ハリルホジッチ監督の指示で香川と武藤がポジションをチェンジしている。右サイドでは本田と右サイドバック酒井宏樹(ハノーヴァー)のコンビネーションで、幾度となく相手を崩してクロスを入れている。

 翻って左サイドは、武藤に切れ込んでからシュートにもっていく意識が強かった。右サイドと同じコンビネーションを香川と長友佑都(インテル)に求めた采配だったことは明白だ。

「練習では特にやっていませんでした」

 香川はぶっつけ本番の形であることを明かした上で、こう言葉を続けている。

「やることはわかっているので。左に張ったときは、どんどん起点を作ることを意識しましたけど」

 引いた相手を崩すセオリーはミドルシュートであり、左右からのクロスとなる。実際、山口は果敢にミドルを狙っていたし、ゴール前に確たるターゲットがいないなかでクロスも供給され続けた。

 日本の選手たちは、指揮官の指示を実践しようと必死になる。フィリップ・トルシエ元監督に通じるエキセントリックなオーラを放つハリルホジッチ監督がベンチ前で鋭い眼光を光らせ、ときには足元のボトルを蹴りあげるしぐさを見せればなおさらだ。

 それでも、結果を求めて汲々としている指揮官の本音が伝わってしまうと、一転してチームの方向性が予期せぬベクトルを描きかねない。そして、選手たちは監督の一挙手一投足に対して非常に敏感だ。

 8日にはイランの首都テヘランに舞台を移して、アフガニスタン代表と対戦する。中立地での戦いとなるが、アフガニスタンもがっちりと守備を固めて臨んでくるだろう。

 カンボジア戦での勝利でプレッシャーが取り除かれたのならば、モヤモヤした思いを日本代表への期待感に変える意味でも、誰よりもハリルホジッチ監督本人にリスクを冒す姿勢を見せてほしい。

【了】

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