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Jリーグ 9年前

破竹の6連勝。「V字回復」の要因は練習にあり。石井新監督の下、鹿島が取り戻した“鹿島イズム”

text by 藤江直人 photo by Getty Images

どん底からの巻き返しを誓った決起集会

 セレーゾ監督の解任から一夜明けた7月22日。選手会長のDF西大伍が音頭を取り、選手だけの決起集会が急きょ行われている。場所は鹿嶋市内のブラジル料理店。午後からの練習を前に、トップチームに登録されている29人全員が集まって昼食をともにした。

シーズン途中で指揮官が解任されるのは史上2度目。セカンドステージ途中から、ゼ・マリオ監督に代わってジーコが総監督として指揮を執った1999年シーズン以来となる。事態の深刻さを痛感しているからこそ、危機感が選手たちを駆り立てた。

 どん底からの巻き返しを誓った決起集会の様子を、昌子が振り返る。

「夜だと家庭をもっている選手もいるので、わがままを言ってお昼の予定を全員に空けてもらいました。お昼ご飯を食べながら、若手から一番年上の先輩まで、29人全員がそのときに思っていたことを発言していきました」

 ファーストステージは6勝4分け7敗の8位に終わり、ACLもグループリーグで敗退した。セカンドステージに舞台を移しても、状況は変わらない。わずか2日前の7月20日には、松本山雅FCの球際の強さを含めたハードワークに根負けするような試合内容で苦杯をなめていた。

 オレたちはこんなものじゃないという思いが、ピークに達していたのだろう。

「鹿島は常にタイトルを狙っていかなければいけないチームだけど、監督が解任されたいま、まず求められるのは目の前の試合における結果だと思う」

 チームメイトに対して思いの丈を訴えた昌子は、決起集会で生まれた共通の思いをこう表現する。

「監督が代わっても、僕たち選手が変わらなければ意味がないということ」

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