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孤立する乾、連動するネイマールとスアレス。勝負を分けた“非エゴイスト”の連係力

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

まだ連係を確立できていない乾

 左WGとセンターFWという位置関係にある2人だが、ともにスピード、アジリティ、フィジカルといった身体能力も高く、ドリブル、パス、トラップといったテクニックに優れ、得点力も高い。

 だた、こういったオールラウンドな能力を持つ選手同士というのは、得てしてフィット出来ずにぶつかり合うことが多い。しかし、このスアレスとネイマールがそうならないのは、彼らが決してエゴイストではないからだろう。

 この2人は、お互いに欲しいタイミングでボールを受けられず怒ったりふてくされる場面が非常に少ない。“非エゴイスト”という点においては、特にスアレスがそうだが、ネイマールがしっかりとスアレスをお膳立てもするため、より気持ち良くネイマールを立てることができる。2人の間には良い相乗効果が生まれているはずだ。

 時代を経るごとに組織的なスポーツとなっていくサッカーにおいて、この“連係”という要素は大きな意味を持つ。どんなに優れた能力を持つ選手でも連係が確立できなければ力を発揮することができない。

 その意味で、乾貴士はまだまだ連係を確立できていないといえるだろう。

 スペインではまだまだ数少ない懸命に守るエイバルというチームにおいて、乾が別の能力を持っていることは確かだ。ホセ・ルイス・メンディリバル監督もそれを認めているからこそ、カンプ・ノウのピッチに立つことができたはずだ。

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