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Jリーグ 8年前

Jリーグが直面する“スケジュール破綻”の危機。2S制導入で生じた『変則』、今こそ夏春制移行の議論を

text by 藤江直人 photo by Getty Images

シーズン移行はメリットも。議論放置は日本サッカーのマイナスに

Jリーグが直面する“スケジュール破綻”の危機。2S制導入で生じた『変則』、今こそ夏春制移行の議論を
今こそJリーグのシーズン移行について議論すべきである【写真:Getty Images】

 Jリーグのシーズン移行を最初に訴えたのは、2008年7月に第11代日本サッカー協会会長に就任した犬飼基昭氏だった。

 浦和レッズ社長時代に高温多湿の夏場の戦いで、心身ともに疲弊し切った選手たちを何度も目撃。痛々しい思いを募らせた経験から、「サッカーは真夏にするスポーツじゃない」なる持論をもつに至った。

 前述したように積雪地域のJクラブから激しく反対されたが、2年前の時点で、あるJクラブの強化担当者は「シーズン制の移行に対する概念そのものが変化してきた」とこう続けている。

「選手たちのハイパフォーマンスをお客さんに見せる手段として、犬飼さんはシーズン制の移行を訴えていた。しかし、いまは代表チームの活動を考えた場合を含めて、ヨーロッパのカレンダーに合わせること自体が最大のメリットという考え方が、Jクラブの間にかなり浸透してきた。2ステージ制を復活させる構想が持ち上がったのも、いざシーズンを移行しようとなった時に、ファーストステージをセカンドステージの後に持っていくことでスムーズに移行できるからです」

 実際に2ステージ制が導入されたいま現在ならば、より具体的な議論を交わすことが可能となるはずだ。現状のままなら、11月の飛び石スケジュール状態は当面避けられない。熱気と関心とをそがれる状況を放置しておくことは、短期的にも長期的にも日本サッカー界にとってマイナスになる。

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