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Jリーグ 8年前

山形、1年でJ2降格も…石崎監督の続投に見える「責任」の取り方。地方クラブに植えつけた我慢の精神

text by 藤江直人 photo by Getty Images

石崎監督就任前の姿。不足していた戦う姿勢

「モンテディオ山形のチームスタイルの土台を、築き上げることができたシーズンでした」

 クラブの公式ホームページにおいて、モンテディオの高橋節社長は昨シーズンから今シーズンにかけての戦いを振り返った上で、石崎監督を続投させる理由を説明している。

「試合内容においては、これまでの蓄積を発揮し、粘り強く戦ってきています。来シーズンは継続的に取り組んでいるチームスタイルの中で、もうひとつ高みを目指すために補うべきもの、改善すべきものを明確にして成長する必要があります。そのためにはこれまでの取り組みを継続し、より強固な基盤の上に、不足している部分の積み上げ、修正を行っていくことがベストであると判断しました」

 モンテディオがJ2降格を喫するのは2度目。小林伸二監督(現徳島ヴォルティス監督)のもと、クラブ史上で初挑戦となるJ1を3シーズンにわたって戦ったが、J2降格が決まった2011年シーズンをもって小林監督は退任している。

 契約を更新しないことで小林監督は「責任」を果たした形となるが、ならば4年前といま現在とでは何が異なるのか。何がモンテディオに石崎監督の続投を決断させたのか。

 石崎監督はモンテディオの前身であるNEC山形で1995年シーズンに監督業をスタートさせ、4年間をかけてJ2参入を狙えるレベルにまで引き上げた。以来、大分トリニータを皮切りに7つのクラブで監督及び監督代行を歴任。そのうち柏レイソルとコンサドーレ札幌をJ1へ昇格させ、2014年シーズンから16年ぶりに古巣の指揮を執った。

 J2で10位に終わり、奥野僚右前監督が退任した直後の2013年12月に早くも練習の指導に当たった石崎監督は、戦う上で根本的な部分が当時のモンテディオに欠けていることに気がついた。

「ボールを止める、蹴るといった基本を含めた部分でレベルが高いチームだと思いましたけど、走る、頑張る、ディフェンスをするという部分で自分がいままで見てきたチームよりも劣るかなと」

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