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その時、パリでは何が起きていたのか? スタジアムは騒然、街は惨劇…現地記者が見た同時テロの現場

text by 小川由紀子 photo by Yukiko Ogawa

『これはテロの襲撃、などではなく、『Guerre』(戦争)だ』

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14日の各紙は『これはテロの襲撃、などではなく、『Guerre』(戦争)だ』と報じている【写真:小川由紀子】

 翌14日、パリ市を含むイル・ド・フランス県では、すべての学校が休校となり、週末恒例のマルシェや美術館など人が集まる場所はすべて閉鎖。エッフェル塔やベルサイユ宮殿、ルーブル美術館、ディズニーランドといった観光地もすべて閉じられ、人気ロックバンド、U2のコンサートも中止になった。

 政府は市民に外出を慎むよう呼びかけ、町中の商店も半分以上がシャッターを下ろしている。昔の日本のお正月のような静けさだ。

 パリでは今年1月、風刺画を売りにした新聞『シャーリー・エブド』の編集部が襲撃されるテロ事件が起きたばかり。そしてふたたび、標的になった。

 オランド大統領は「このようなテロ行為は断じて許さない」と強い口調で演説し、14日の各紙は『これはテロの襲撃、などではなく、『Guerre』(戦争)だ』と報じている。今回と同レベルの非常事態宣言が出されるのは、1960年前後の、アルジェリア独立戦争のとき以来だというから、ただ事ではない。

 多発テロから一夜あけたパリには、この先何かが変わっていきそうな不穏な空気が漂っている。

【了】

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