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ベンダーが切り開いた新たな世界。「本職」ではないCBにも喜び見出す“ボール奪取のモンスター”

ドルトムントのスヴェン・ベンダーは、昨季のユルゲン・クロップ体制では6番=ボランチのポジションでプレーしていた。本人も「希望のポジション」と語っているが、トーマス・トゥヘル体制となった今季はセンターバックとしてプレーしている。いまだに自らを6番と自負するベンダーだが、本職ではないセンターバックのプレーにも喜びを見せている。

text by 本田千尋 photo by Getty Images

ベンダーが本職ではないポジションで切り開いた新たな世界

ベンダーが切り開いた新たな世界。「本職」ではないCBにも喜び見出す“ボール奪取のモンスター”
今季はCBとしてプレーするスヴェン・ベンダー【写真:Getty Images】

 4ヶ月前のことだ。2015年8月1日に行われたレアル・ベティスとの練習試合の後で、ボルシア・ドルトムントに所属するスヴェン・ベンダーは「もちろん希望のポジションではないね」と言葉を残した。

 暑い夏のヴッパータールで、ベンダーはマティアス・ギンターとコンビを組んでCBのポジションに入る。そのまま90分間フル出場した。

「僕はその希望のポジション(ボランチ)でプレーしたいという要求を持っている」

 3日付の『キッカー』誌は、ベンダーのことを「ボール奪取のモンスター」と形容する。昨季はクロップ体制で、主に[6番](=ボランチ)のポジションでプレーした。何よりベンダー本人が[6番]を得意とすると考えているようだ。

「依然として僕は自分のことを6番だと思う。本当に、実によくね。だけど僕らがプレーするようなCBのポジションでもまた、僕は職務を果たすことができる。プレーすれば、嬉しく思うよ」

 11月29日に行われたブンデスリーガの第14節シュトゥットガルト戦で、ベンダーはCBに入って90分間フル出場した。CBでプレーするのは、今季では5度目のことだ。

 26日のヨーロッパリーグ、クラスノダール戦でもCBに入っている。しかし序盤にポジショニングで戸惑い、敵のPK奪取に繋がってしまう。翻ってシュトゥットガルト戦では安定したプレーを見せて、4-1の勝利に貢献する。14分にはカウンターに粘り強く対応するなど、CBらしくプレーした。

 ベンダーはCBのポジションに、新たな境地を見出しつつあるようだ。ミヒャエル・ツォルクSDは「彼はどのポジションでもプレーできる」と信頼を寄せている。

 しかしベンダーが[6番]の選手であると、一体誰が決めるのだろうか。フットボールにおけるポジションという概念はあやふやなものだ。向いている/向いていないは紙一重で、それはつまり“本職”は存在しないと言い換えられるのかもしれない。

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