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アーセナルが犯した“対バルサ”最大のミス。自らを追い込んだ戦術とメッシへの恐怖心

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

前半30分以降、ギアを上げたメッシ

リオネル・メッシ
30分間のウォームアップを終え、体の温まったメッシが目を覚ます【写真:Getty Images】

 確かに前線からプレスをかけるのは体力的にも削られる。さらに今回のアーセナルのプランは中盤のスペースを消すことだったため、前線から絶えずプレスをかける必要はないという判断だったのかもしれない。

 しかし、バルサに限って「持たされている」という状況はない。そして、ピケとマスチェラーノにボールを持つ時間を与えることは絶対にやってはならないこと。バルサ対策第1条といってもいいほどである。

 バルサがアーセナルの張った“罠”を解くためにじっくりとパスを回し、徐々にプレー位置をアーセナル陣地に上げていく。その中で30分間のウォームアップを終え、体の温まったメッシが目を覚ます。

 前述した前半45分間のスタッツを、さらに30分までと以降の15分に分けてみると、30分までが支配率64.3%(バルサ):35.7%(アーセナル)、シュート数1本:4本、チャンスメイク数1回:2回と支配率以外アーセナルが上回っていた。一方で以降の15分は支配率82.2%:17.8%、ショート数3本:0本、チャンスメイク数3回:0回とバルサが圧倒した。

 同様にメッシのスタッツを見ると、30分間はシュート0本、1対1勝利回数3回。以降15分間はシュート3本、1対1勝利回数5回。ネイマールとスアレスは、この2つの時間帯でスタッツの変化はほとんどなかったが、メッシはわずか15分間に5回も1対1を制し、3本のシュートを放った。

 前半は0-0で終えたが、アーセナルの選手たちの頭には徐々に押し込まれたこと、メッシが明らかにギアを上げてきたことへの恐怖心が芽生えていたのだろう。

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