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Jリーグ 8年前

ハンド判定を“ミス”と認めた審判委員会の意図。オープンな議論がもたらすリスペクトの姿勢

text by 藤江直人 photo by Dan Orlowitz , Asuka Kudo / Football Channel, Getty Images

1級審判員が語るミスの原因

 27日から幕を開けるレギュラーシーズンの場で、再発を防ぐためにはどうしたらいいのか。ミスから学ぶ姿勢が何よりも大事と力を込める上川委員長は、カンファレンスに出席した、今シーズンのJ1で主審を務める1級審判員に意見を求めている。

 2005年シーズンからプロフェッショナルレフェリーとして登録されている家本政明氏(国際主審)は、飯田主審のポジショニングに言及した。

 PKを宣告した瞬間、飯田主審はペナルティーエリアの外側、丹羽のちょうど後方20mくらいの位置にいた。副審も反対側の右サイドにいたため、ハンドか否かを見極めるにはともに距離がありすぎた。

 家本氏はスクリーンに映し出されたピッチのなかで、ペナルティーエリアの左横が判定を下すためのベストのポジションしたうえでこう続けた。

「ならば現実的にそのポジションに行けるのか、という話になるとリスクがある。もし行ったとしても、こういうところ(ペナルティーマーク付近)で次の反則があった場合の見極めはどうなるのか。

 そのポジション(ペナルティーエリアの左横)へ行ける可能性があったとしても、次に何かが起こったときにそれが見えないということになると、やはり取れないポジションとなります」

 2010年の南アフリカ大会、2014年のブラジル大会でワールドカップの主審を歴任。国内では7年連続でJリーグ最優秀主審賞を受賞している西村雄一氏は、「競技規則のなかで審判員を最も苦しめているのがハンドリングの反則」と明かしたうえでこう続けた。

「レフェリーがこれをハンドと見間違える大きな理由ですが、ディフェンスのプレーヤーがこのように手を挙げていくと、我々のスイッチとしてはハンドの判定になる可能性が高い。

 たとえば(丹羽選手の)左手の位置が違うところであれば、たとえ手に当たってもコーナーキックと判定することができるようになっていますが、スライディングという自分の身をすべて投げ打って、体のどこかに当ててでも止めたいという行為のなかで、手を通常の位置と違って大きく使い、体の部分を大きくしようとした場合には、非常に残念ですが見間違えることがある」

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