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Jリーグ 8年前

ハンド判定を“ミス”と認めた審判委員会の意図。オープンな議論がもたらすリスペクトの姿勢

text by 藤江直人 photo by Dan Orlowitz , Asuka Kudo / Football Channel, Getty Images

テクノロジーの導入はあるか?

UEFAの大会などで導入されている追加副審。現在は立ち位置が写真とゴールを挟んで逆になっている
UEFAの大会などで導入されている追加副審。現在は立ち位置が写真とゴールを挟んで逆になっている【写真:Getty Images】

 カンファレンスに先駆けて、今シーズンの公式戦で追加副審(AAR:additional assistant referee)が導入されることが、日本サッカー協会およびJリーグから発表されている。

 現状は主審、副審2人、第4審判の4人で構成されている審判団に2人を追加。両方のゴールライン付近にそれぞれ配置し、ゴールか否かの見極めや、ペナルティーエリア内におけるさまざまな事象に対する判定の精度向上を図っていくことが目的だ。

 きっかけは昨シーズンのファーストステージ。清水エスパルス対鹿島アントラーズの開幕戦をはじめ、微妙なゴール判定に対する抗議が相次いだことを受けてプロジェクトチームが発足。すでにAARを導入しているUEFAチャンピオンズリーグやセリエA、カタールやUAEなどから情報を収集してきた。

 対象となるのはナビスコカップ準決勝以降の5試合、Jリーグチャンピオンシップの最大5試合、天皇杯準決勝以降の3試合。これらに先駆ける形で、6月をめどにJ3で試験導入を実施する。

 サッカーのルールは国際サッカー連盟(FIFA)ではなく、国際サッカー評議会(IFAB)に管理されている。そして、審判団による判定の補助としてIFABから認められているのはAARと、ゴールラインテクノロジー(GLT)だけとなる。

 上川委員長によれば、GLTは初期費用で4000万円から5000万円を要し、試合ごとにランニングコストも加わる。スタジアム内の高い位置、基本的には屋根にカメラを設置しなければならず、しがたって全スタジアムで屋根付きの条件が整っていなければ不平等が生じる。

 何よりもGLTはゴール判定に限定され、導入されたワールドカップ・ブラジル大会で必要とされたのは2ケースだけだった。こうした事情を踏まえて、最も重要になるゴール前の判定の精度を上げる可能性を求めてAAR導入に踏み切った。

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