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実り多き“凡戦”。「スペクタクル」はなくとも…過密日程の息継ぎに成功したBVB

text by 本田千尋 photo by Getty Images

日々のトレーニングが生んだ「フレッシュな個」

 厚い守備を前に、BVBは攻めあぐねた。26分、オーバメヤンの左からの折り返しを、エリア内でフンメルスがラモスに縦パスを送る。正確なトラップからラモスがシュートを打つが、DFにブロックされる。

 ダルムシュタットに決定的なチャンスを与えたのは、36分、アーリークロスからワーグナーに、わずかに左に外れたシュートを打たれたぐらいのものだったが、一方でドルトムントもなかなか決定機を作り出せない。

 先制に成功したのは、ようやく38分のことである。左サイドのカストロがエリアの手前からファーに入れたボールを、オーバメヤンがヘディング。GKマテニアが弾いたところを、ラモスが詰めた。1-0。

 そして53分にはカストロのスルーパスに、ドゥルムがエリア内に勢い良く飛び出す。左足でワントラップして、右足で押し込んだ。2-0。

 パスラックを筆頭に選手を入れ替えても、相手が固める中で、ペナルティエリアという狭い範囲を崩していくことが出来るのは、常日頃のトレーニングの軸にロンドが据えられているからだろう。

 トゥヘルは4対1といったシンプルなものだけでなく、選手全員が参加するごちゃごちゃしたロンドも練習に取り入れている。そこに「フレッシュな」個が加わり、相手との力関係に差があれば、たとえ「スペクタクルではなかった」としても、力と数で押し切ってしまえる。

 そして交代は、70分にパスラックに代えてムヒタリヤン、83分にギュンドアンに代えてライトナーと2名に留めた。3枚目のカードを切らなかったことは、この試合の主眼を考えれば、ネガティブに捉える必要はないだろう。

 チームは2-0で勝利して、勝ち点3を手にし、息を継いで呼吸を整えることに成功した。「実り多かった」ダルムシュタット戦だった。

【了】

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