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CLベスト8、1stレグ。レアルを復活させた“アンカー”。苦境ヴォルフスの挑戦の行方は…

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

レアル・マドリーに安定感を与えたカゼミーロ

アンドレ・シュールレ ユリアン・ドラクスラー
ヴォルフスブルクにおいてキーマンとなるのはアンドレ・シュールレ(左)とユリアン・ドラクスラー(右)【写真:Getty Images】

 ヴォルフスブルクにおいてキーマンとなるのは、やはりシュールレとドラクスラーのドイツ代表コンビだろう。

 シュールレは昨季途中にチェルシーから加入して以降、レバークーゼン時代のようなパフォーマンスを見せることができずに苦しんでいた。しかし、中断期間明けの後半戦からは上昇気配。クルーゼと2トップを組んだ試合ではハノーファー戦のハットトリックを含めて4試合で5得点を記録している。

 ヴォルフスブルクは1stレグがホームゲームだけに、何としても得点を奪わなければならない。今季シャルケから加入したドラクスラーとのコンビでシュールレがいかに良い形のチャンスを作れるかが鍵となる。

 対するマドリーは、失意のダービーののち、クラシコを含めて5連勝を遂げているが、ジネディーヌ・ジダン監督はそのスタートとなるレバンテ戦からチームに1つの変化を加えている。

 それがアンカーのカゼミーロだ。それまでジダン監督は、アンカーの役割を主にクロースに任せていた。攻撃の面では長短のパスで高い貢献度を見せていたが、クロースは守備に特徴を持つ選手ではない。

 そのため、中盤の守備力に不安があったが守備力の高いカゼミーロを起用して以降は格段に中盤の安定感が増した。ポジションを1つ上げたクロースも、それまで守備へのカバーリングに時間を割かれていたモドリッチも背後にカゼミーロがいることで攻守においてプレーに余裕を取り戻している。

 加えて、現在ではベンゼマ、ベイル、クリスティアーノ・ロナウドの“BBC”トリオが揃う。この3人は個々にも世界トップクラスの能力を持つが、やはり3人揃った際の破壊力は抜群。

 特にベンゼマの存在感は大きく、ベンゼマのプレーはロナウドのパフォーマンスにも大きな影響を与えている。ベンゼマのキープ力、パス精度、そして決定力は代えの効かないレベルにあり、このサポートを受けたロナウドは単独でのプレーを何倍も上回る力を発揮できる。

 現在、マドリーの陣容に目立ったところでの欠場者はなく、心身ともに万全の状態といえる。

 ヴォルフスブルクにとってベスト8進出は快挙といえるが、ここでその挑戦が終わる可能性は高いだろう。

(文:海老沢純一)

【了】

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