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コンテ就任でチェルシーはどう変わるか。鍛錬主義の“イタリア版モウリーニョ”が挑むどん底からの再出発

text by 山中忍 photo by Getty Images

どん底からの再出発。モウリーニョ前体制の失敗を教訓とできるか

テリー
来季の去就が不透明なジョン・テリー【写真:Getty Images】

 新戦力の候補としては、前線にはゴンサロ・イグアイン(ナポリ)とやロメル・ルカク(エバートン)と、中盤にはポール・ポグバ(ユベントス)とやラジャ・ナインゴラン(ローマ)と、後方にもCBセルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)とGKフレイザー・フォースター(サウサンプトン)といった名前を含む希望リストが経営陣に伝えられているとさえる。

 チェルシーのファンにすれば、「キャプテン、リーダー、レジェンド」ことジョン・テリーの行く末も気になるところ。生え抜きのベテランCBはコンテと面談した1人で、クラブが3度目の1年契約提示へと翻意するかどうかは新監督の判断次第と思われる。母国でピルロの円熟味を重視したコンテの就任は、テリー残留への光明としても地元サポーターに歓迎されている。

 また、主力にテリー後のユース出身者がいないチェルシーだけに、交渉段階でアブラモビッチが求めた自家製選手の戦力化をコンテが快諾したと言われる点でも期待がもたれる。今季は、ヒディンク暫定体制下で先発が増えたルーベン・ロフタス=チークら、若手数名のプレミア経験が唯一の収穫と言える状態でもある。

 だが、若手には辛抱が必要であるように、過去13年間で最低のどん底から再出発の指揮を執る監督にも辛抱が必要だ。コンテ新体制の成否は、新監督に尻を叩かれる選手たちの姿勢と同等以上に、クラブがモウリーニョ前体制失敗を教訓とし、指揮官により多くの時間と領域を与える姿勢を示せるかどうかにかかっている。

(取材・文:山中忍)

【了】

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