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CLベスト4、1stレグ。BBCに潜むレアルの二面性。“C”の代役を務めた汗かき役の貢献度

text by 今関飛駒 photo by Getty Images

“C”の代役を務めたバスケス。汗かき役として守備に貢献

バスケス
汗かき役として守備の貢献を見せたルーカス・バスケス【写真:Getty Images】

 この試合では、ロナウドに代わって先発したルーカス・バスケスが先発出場した。ここまでのリーグ戦23試合で4得点のバスケスに、怪物じみたロナウドの攻撃力と同じ働きを求めるのはナンセンス。しかし、下部組織出身の24歳は、“汗かき役”として守備で大きな貢献を見せた。

 UEFAのデータによれば、シティ戦でバスケスが記録した走行距離は両チーム通じて最多の13.37km。ロナウドがCLの10試合で記録した平均走行距離は9.23kmというのは決して際立って少ないという数字ではないのだが、この試合で2番目に多かったシティのケビン・デ・ブルイネが11.69kmであることから、いかにバスケスが多くの距離を走ったかが分かる。

 シティはフェルナンジーニョとフェルナンドのボランチコンビがボールを奪って前線に素早く配給していたが、多くの場面でバスケスは自陣に戻って守備に参加し、攻撃に移ればそこからスプリントして前線へと顔を出していた。

 ジネディーヌ・ジダン監督は、中盤にカゼミロをアンカーに据えてその前方にルカ・モドリッチとトニ・クロースを配置した。ジダン監督はこの3枚の中盤セットをビッグゲームで起用する傾向がある。

 直近のリーグ戦でこの3枚が起用されたのはビジャレアル戦、バルセロナ戦、セビージャ戦など上位陣との対戦。CLベスト8のヴォルフスブルクとの2試合でも、この3枚は起用されていた。下位チーム相手の試合の多くはマテオ・コバチッチやイスコ、ハメス・ロドリゲスを起用している。

 ジダン監督としては、中盤の3枚は最初から決めていてロナウドの代役に誰を起用するかというところで、守備を優先してバスケス起用という選択を下したのかもしれない。もちろん、バスケスよりも攻撃力の高いイスコやJ・ロドリゲスを起用してアウェイゴールを狙う方法もあっただろう。

 しかし、今季のマドリーはホームでの5試合で全勝、さらに18得点0失点と無類の強さを誇っている。ジダン監督もホームでの戦いに自信を持っているからこそ、1stレグはリスクを犯してアウェイゴールを奪いに行くのではなく、しっかりとゼロに抑えた上でホームに迎え撃つという判断なのかもしれない。

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