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アトレティコが体現する最先端。シメオネが構築した“ポゼッション放棄”のゲーム支配【データアナリストの眼力】

シリーズ:データアナリストの眼力 text by 中山佑輔 photo by Getty Images

準決勝の鍵はプレッシングの耐久力か

【図3】縦軸をパス成功数、横軸を走行距離とし、CL準決勝進出クラブを準々決勝2試合の平均値で配置したもの。十字の線は準々決勝を戦った8クラブの平均値。
【図3】縦軸をパス成功数、横軸を走行距離とし、CL準決勝進出クラブを準々決勝2試合の平均値で配置したもの。十字の線は準々決勝を戦った8クラブの平均値。

 準決勝のバイエルン・ミュンヘン戦でアトレティコはどのようなゲーム運びを見せるのか。準々決勝8試合のデータでコンセプトマップを作り、準決勝進出4クラブの立ち位置を表すと図3のようになる。ボールを大事にするバイエルンが相手である以上、アトレティコがバルセロナ戦と似たようなプランで準決勝に臨むのは想像に難くない。

「おそらくバルサ-アトレティコ戦と似たような展開になるでしょうが、バイエルンはバルサよりもフィジカル的な要素が優れている。走行距離も長いし、高さがある選手もバルサより多い。そこはバイエルン-アトレティコ戦のポイントになるかもしれませんね」

 一般的に60分を過ぎあたりからプレー強度は落ちてくる。実際、準々決勝のセカンドレグでも、後半途中からバルセロナがアトレティコを押し込む時間が長くなった。最後の最後のところで踏ん張り切れるのはアトレティコの強さであるが、バルサ戦よりも体力的な疲労度が強くなると、押し込まれた状態で守り切るのは難しいかもしれない。

 キーになるのは「アトレティコがどれだけ強度の高いプレッシングを維持できるか」になりそうだ。また、2試合合計スコアで競う戦いのなかで、両チームがホームとアウェイの試合をどのように位置づけるのかも興味を惹くところである。庄司氏は次のように語っている。

「最近のCLでは一発勝負の決勝よりも、ホーム&アウェイの2試合がある準決勝のほうが深い戦術的駆け引きがあって楽しいですね。アトレティコとバイエルンは、ホームとアウェイでそれほど戦い方が変わらないチームではありますが、180分でどういう戦いが見られるか、楽しみです。アトレティコのプレッシングも見ごたえがありますが、ペップ・グアルディオラ率いるバイエルンが、それをどう乗り越えようとして来るのか、大変興味深いですね」

 第1戦は、アトレティコのホーム、ビセンテ・カルデロンで行われる。

(分析:庄司悟/文:中山佑輔)

【了】

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