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日本代表 8年前

アウェイ=得体の知れない恐怖。ハリルJに警鐘を鳴らす経験者たち

text by 元川悦子 photo by Getty Images

当然起こり得る主力の怪我。求められる総合力

駒野友一
2010年南アフリカ・2014年ブラジルの二度のW杯予選を戦った駒野友一【写真:Getty Images】

 タフで過酷な環境だからこそ、アウェイでは効率的な試合運びが求められる。「守る時は守る、ここで点を取る時は取るという判断をしっかりすることが大事。特にアウェイでは相手の出方をよく見極める必要がありますね。

 相手が出てこなければボールを回しながら時間をかければいいですし、攻めてくれば逆にショートカウンターを狙いに行けばいい。そのバランスをどう取るかだと思います」と駒野は言う。それを実践するためにもチームの意思統一は不可欠。そこは長谷部誠(フランクフルト)ら経験豊富なメンバー中心に今一度、結束を高めていくべきだ。

 1年を超える長丁場の戦いが断続的に繰り返される最終予選では、ケガや出場停止などのアクシデントも起こり得る。前回も上記の2012年6月のヨルダン戦(埼玉)前半途中に吉田麻也(サウサンプトン)が負傷退場。栗原が急きょ、ピッチに送り出されている。

「麻也がケガして、俺が途中から出ることになった。あの時は試合の最後に点も取れて、何とかいい入りができた。その後、連続でアウェイのオーストラリアへ行ったけど、相手も強かったし、出てくるはずのFWがいなかったりして、頭を一から整理しなおさなきゃいけなくなった。

 それでも、自分のサッカー人生の中で1番か2番にデカい試合だと思って戦った。俺自身が先制点を取ったり、退場したりと出入りの激しい戦いになったけど、自分みたいなサブの選手にいつそういう状況が巡ってくるか分からない。そこでミスをせずにやれるかが一番大事だと思う」と彼は控えメンバーを含めた「総合力」の大切さを改めて強調していた。

 前回はサブがメインだった駒野にしても、内田篤人(シャルケ)が出場停止となった2012年9月のイラク戦(埼玉)で先発し、巧みなスローインから岡崎慎司(レスター)を経由して前田遼一(FC東京)の決勝点をお膳立てするいい働きを見せた。

「ああいうトリックプレーとかセットプレーで点が入ればチームは楽になりますよね」と本人も振り返ったが、彼らのように突如、出番を与えられても計算できる仕事をしてくれる選手が数多くいれば、最終予選でも波のない戦いができるはず。ゆえに、チームの底上げを今後も図っていく必要があるのだ。

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