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ドルト主将も移籍。ドイツ人はなぜバイエルンに行きたがるのか? 自国民が抱く巨大な畏敬の念

text by 本田千尋 photo by Getty Images

移民のエジルやケディラとは違った心情

 代表監督と同じようなことを、代表選手が考えていてもおかしくはない。3月下旬に行われたイングランド代表及びイタリア代表とのテストマッチに召集された27名のメンバーの内、国外でプレーするドイツ人選手は4名だけだ。

 テア・シュテーゲン(バルセロナ)、ケヴィン・トラップ(パリ・サンジェルマン)、トニ・クロース(レアル・マドリー)、そしバスティアン・シュバインシュタイガー(マンチェスター・ユナイテッド)。

 メスト・エジル(アーセナル)やサミ・ケディラ(ユベントス)は、いわゆる移民の子である。そうしたドイツ国外にルーツを持つ選手たちは、イングランド、スペイン、イタリア、そしてトルコといった国々に活躍の場を求めている。

 よって国外のクラブで「タイトル」を獲りに行かないことは、フンメルスもまた“ドイツ人”であることの証なのかもしれない。

 フンメルスは、ミュンヘンでサッカー選手として最後の時を過ごそうとしている。

 家族と友人に囲まれて、慣れ親しんだ故郷で「タイトル」を獲りに行く。

 誰もが畏敬の念を抱くバイエルンで、終焉に向かうのである。

(文:本田千尋【デュッセルドルフ】)

【了】

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