レスターが使いきった“新型4-4-2”の利点。10人ブロックの構築。戦術上不可欠な岡崎【西部の4-4-2戦術アナライズ】

アトレティコが躍進して以降、復活の感があるフラットな4-4-2システム。だが、昨今各国リーグで成果を上げている4-4-2は、以前のそれとは様相が異なっている。本連載では、「4-4-2」に焦点をあて、同システムを採用するチームの戦術を分析していく。今回は、プレミアリーグ優勝という快挙を成し遂げたレスター・シティの戦いぶりを紐解く。(文:西部謙司)

2016年05月18日(Wed)10時20分配信

シリーズ:西部の4-4-2戦術アナライズ
text by 西部謙司 photo Getty Images
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守備ブロック増強とともに可能になった2トップ

献身的なプレーで2トップを可能たらしめた岡崎慎司
献身的なプレーで2トップを可能たらしめた岡崎慎司【写真:Getty Images】

 2015-16シーズンのプレミアリーグは、誰も予想だにしなかったレスター・シティの優勝で幕を閉じた。しかも、終わってみれば2位のアーセナルとは10ポイントの大差。シーズン前の降格候補が、ぶっちぎりの優勝である。

 スタープレーヤー不在のレスターはハードワークで栄冠を獲得している。ジェイミー・ヴァーディー、リヤド・マハレズ、エンゴロ・カンテは新しいスターになったとはいえ、レスターの強みは個人能力ではなく全員の労を惜しまない運動量と組織力にあった。

 システムは4-4-2。2000年代には下火になっていたが、13-14シーズンにアトレティコ・マドリーがリーガ・エスパニョーラに優勝したのを境に復活した。アトレティコは、従来の8人による守備ブロックを10人に増員して守備を強化した。

 守備が強化できたので、2人のストライカーを起用する余地も生まれた。主流になっていた4-2-3-1の1トップから2トップを復活させたポイントは10人ブロックの全員守備である。

 レスターの4-4-2は、アトレティコがリバイバルさせた4-4-2と同じだ。岡崎慎司とヴァーディーの2トップは、味方のMFラインに近づいて連係して守り、10人の守備ブロックを形成している。

 新型4-4-2のポイントはFWの負担が大きい。

 従来は、相手のセンターバックにプレッシャーをかけ、サイドバックへボールを吐かせれば守備の仕事はほぼ終わりだった。しかし、新型4-4-2ではさらにサイドバックから中央への横パスに対しても守備ができるポジションをとる。

 FWが下がることで、相手の横パスに対してFWとMF(ボランチ)の挟み込みが可能になり、FWとMFの間のスペースで相手に自由にボールを持たれるリスクをかなり軽減できる。FWが守備組織の歯車に組み込まれたことで、守備ブロックはより強固になった。

 FWの守備参加は新型4-4-2の生命線といえる。レスターではハードワーカーの岡崎はもちろん、チーム総得点の35パーセントを叩き出したヴァーディーも献身的に守備をしていた。

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