【特別座談会】トルシエ、ジーコ、オシムの通訳が語る「日本代表は本当に強くなったか?」

書籍『サッカー通訳戦記』の発売を記念して、フィリップ・トルシエ、ジーコ、イビツァ・オシムと、それぞれ3人の日本代表監督の通訳を務めたフローラン・ダバディ、鈴木國弘、千田善各氏、さらに特別ゲストとしてリバプール出身のデザイナー、トニー・クロスビーを迎えて『フットボール批評issue11』で座談会を開催。本編は番外編として本誌では収録しきれなかった部分をお送りします。司会・進行は『サッカー通訳戦記』を上梓したばかりの加部究氏。(司会・進行・文:加部究)

2016年05月20日(Fri)10時41分配信

text by 加部究 photo Editorial Staff
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通訳はいなくてもOKという状況が本当は理想的

フローラン・ダバディ
フローラン・ダバディ。1974年生まれ。パリ出身。脚本家のジャン・ルー・ダバディーを父に持つ。1998年、映画雑誌『プレミア』の編集者として来日。ほどなくしてサッカー日本代表フィリップ・トルシエ監督の通訳に抜擢される。現在は、『エル・ジャポン』『エル・オンライン』でライターやパーソナリティを勤めるほか、俳優、モデルとしても活動【写真:編集部】

加部 やはり日本も含めてアジア諸国では、監督、選手を含めて助っ人需要が高いから必ず通訳を用意しているということですかね。

千田 逆に鹿島の選手たちは、ポルトガル語の単語をよく知っていますよね。

鈴木 通訳がいい加減だから(笑)。汚い言葉なんか全員が知ってますよ。基本的に通訳はいなくても流れていくくらいがちょうどいい。でも日本代表で同じことをやろうとしたら、なんのためにいるんだ、と言われちゃった。こちらとすれば、いちいち通訳の顔を見るから嫌になっちゃって、通訳に頼り過ぎるなよ、というメッセージだったんですけどね

ダバディ ネルシーニョは、日本語が判るのかな?

鈴木 右左や、前後ろくらいじゃないですか。ジーコはヒアリングなら結構いけそうな気がします。普段からナビは聞いていたので、ナビの言葉は時々喋りましたよ。

千田 オシムさんは、日本語の会話はかなり理解していると思いますよ。だけどちょっと格好をつける人なので、敢えて自分が片言の日本語を話すことはしなかったですね。ドイツ語とフランス語はインタビューに応じられるレベルにあるけれど、そうじゃないと判っている英語も話さなかった。

鈴木 ジーコもイタリア語やスペイン語は、そのままやっていました。

ダバディ トルシエさんは、そんなにたいした選手じゃなかったから、選手たちがどの程度言うことを聞くかわからないけれど、やっぱりジーコさんに言われたら、選手たちも聞くよね?

 例えば、FKはこう蹴るとか。だから思うんです。ハリルホジッチさんは、1980年代に世界でも有数のストライカーだった。でも当時は東欧圏の選手は28歳になるまで西側のクラブに移籍出来なかったので、ビッグクラブと契約が出来なかった。

 もしビッグクラブへ行けていたら、きっと今の仕事ももっとやりやすかったんじゃないかな。名選手が名監督になれないと言いますが、やっぱり名選手だったカリスマ性は大きい。

鈴木 いや今の選手たちは名前ではびっくりしない。ジーコも苦労していましたよ。いくら名選手でも、ほとんどの選手たちはビデオでしかプレーを見たことがない。だから選手たちとどう接したらいいのか難しかった。最初は自分のことを監督と言わなかったですね。

 監督という肩書きはついているけれど、経験豊富な兄貴だと思ってくれ、と話していました。結局欧州遠征でイングランドと引き分け、チェコを破り、ようやく監督と認めてもらえたかな、と話していたので、2年間くらいかかったと思います。

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