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「私にとってポゼッションはライバルを快適にするもの」。闘将シメオネのフットボール観【前編】

シリーズ:闘将シメオネのフットボール観 text by 江間慎一郎 photo by Getty Images

チョロはチームに強靭なメンタリティーを備えさせている

アトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督
アトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督【写真:Getty Images】

グスタボ・ロペス(以下G) 現役時代、チョロの半分位の持久力があったら良かったのに……。

シメオネ(以下S) 話したことがあったかは覚えていないが、(グスタボを指差して)代表チームでは同じ部屋を共有していたんだ。

G 1994年から2001年までだね。

S 私と一緒にいて我慢ができたのは、彼だけだったんだよ。

マルティーニ(以下M) グスタボは良い監督になれるよ。チョロ、彼と一緒に働く日は来ると思う?

S そうなるだろう。絶対にね。

G 働けるかは分からないな。チョロの話を聞いていて、自分の方がもっとフットボールを知っていると感じ始めているよ(笑)。彼に忠誠を誓う観衆が、そのことをどう思うのか(笑)。

M なるほど。それは問題になり得るね(笑)。

S 重要なのはフットボールを知っている人間がより多くいることだ。そうであれば(監督の)仕事は少なくなる。

G とにかく、アトレティコのコーチ陣には驚かされたよ。チョロ、ヘルマン(・ブルゴス、助監督)、プロフェ(オスカール・オルテゴ、フィジカルコーチ)と、彼らの選手たちを再生させる、覚悟を植え付けられるキャパシティーにね。

 現役時代の自分だったら、「チームの重要な選手たちがここから去っていった。最もスピードのあるセンターフォワード、勝ち点10を守ったゴールキーパー……。これから、一体どうすればいい?」と考えていたはずだ。

 しかしながら、チョロはチームに強靭なメンタリティーを備えさせている。選手たちが去り、その代わりにまた違う個性を持つ選手たちが加わりながらも、変わらずにモチベーションを与え続けているんだよ。それこそが監督のベースとなる仕事だ。

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