「私にとってポゼッションはライバルを快適にするもの」。闘将シメオネのフットボール観【前編】

2016年05月25日(Wed)7時00分配信

シリーズ:闘将シメオネのフットボール観
text by 江間慎一郎 photo Getty Images
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「自分はチームに生命が宿ると信じている」

2014-15シーズンまでアトレティコでプレーし、現在はアスレティック・ビルバオでプレーするラウール・ガルシア
2014-15シーズンまでアトレティコでプレーし、現在はアスレティック・ビルバオでプレーするラウール・ガルシア【写真:Getty Images】

S 今季は大きな挑戦に臨んでいると思う。昨季に比類できないことを成し遂げたのは明白だからね。しかし、10人もの選手が加入することには興奮も覚える。それぞれ性格の異なる人間が、少しずつチームの一員と自覚していく様には、そう感じるものなんだ。

 時は流れ続けるもの……。もちろんだ。そして、その流れの中でアントワーヌ・グリーズマンはこのチームに惹きつけられ、マリオ・マンジュキッチは生命とも称せるフィロソフィーの一部となった。

 そう、自分はチームに生命が宿ると信じている。生命とは何か? 試合への臨み方にほかならない。それはプレーの良し悪し以前に、同じような意識を持つ選手たちが増えることで生じるものだ。

 アトレティコは基本的に全員が素晴らしい形で試合に臨んでいる。それは勝利のために良いプレーを見せるということではなく、競争に臨む姿勢や情熱を感じさせることだ。実際、私は試合への取り組み方という点で、似たような選手たちを擁している。

 マンジュキッチ、ラウール・ガルシア、サウール・ニゲス、チアゴ・メンデス、ディエゴ・ゴディン、ミランダ、ホセ・ヒメネス、フアンフラン……。彼らの顔つきやプレーを見れば、全員が似たようなタイプだと分かるはずだよ。

 選手は悪いプレーを見せることもある。例えば今季(2014-15シーズン)のアスレティック・ビルバオ戦(前半を0-1で終え、後半に4点を決めて逆転勝利)の前半がそうだったが、別に問題ではなかった。

 前半を終えた後、2つのことを話してから、再び競争に臨む姿勢を見ることができたからね。それは彼らが競争を好む選手たちだからだ。チーム内で、そのような選手たちを25人抱えることはないが、16人か14人ほどいれば……。

 ほら、ラウール・ガルシアのことを考えてくれ。スペイン・スーパーカップのバルセロナ戦、監督ディエゴ・シメオネは彼を招集外とした。そして次の日、朝8時から練習に取り組んでいたのがラウールだった。

 彼がその後に代表チームに招集されたことは、決して偶然の産物ではない。ラウールは競争心のある選手で、それをグループに伝染させられるんだ。全員が物事を同じように考えるわけではないし、中には「自分には出場機会が必要で、20試合に出場できて14位で終えるチームに行くことを望む」と言い放つ選手だっている。

 そのような選手も、個人的には評価する。が、コレクティブな面を考えれば良いものではない。受け入れられる考え方ではあるし、すべてのチームにそういう選手がいるものだ。ただ競争に臨む上では、そういったタイプは少ない方が望ましい。

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