フットボールチャンネル

アトレティコ担当記者の悲哀。どうしても手が届かないCL。退職願に綴られた悲嘆

text by アルベルト・ロメロ・バルベーロ photo by Getty Images

時の流れは受け入れなければならない

 次にあるのは、スポーツ記者というものについて。自分たちが、いまだそうであると自覚し続けることに意味があるならば、であるが。若い時分、この仕事を始めたときには、記者はニュースを報じるものだと言われたことを思い出す。そうするだけ。それだけだと。私たちが多少なりとも、ニュースを伝えられていたことを願ってやまない。

 時間は私たちを通り過ぎていくもので、そのことを受け入れなければならないだろう。ともすれば、「すぐにでも旅に出る(※)」ときなのかもしれない。「まったく異なる人生を歩み、違う名前を名乗り、自分が決してなれない男たちの服と肌を装うのだ(※)」。例えばその男は、ディエゴ・パブロ・シメオネ。じつに喜ばしかった。誇らしかった。

追伸:何があっても、私たちは離れ離れになどならない……。

追伸(2):最も望んでいることとはいえ、退職願を受け入れないでほしい。私には娘が2人いるんだ……。

【以下訳者より】

※の箇所は、アトレティコの創立100周年イムノも手がけたスペイン人歌手ホアキン・サビーナの歌の一節。バルベーロはサビーナの熱狂的ファンであり、マエストロと称する彼の歌詞を頻繁に引用している。

 なお『マルカ』のフアン・イグナシオ・ガジャルド編集長は『ツイッター』を通じて、バルベーロ記者に対して「退職願は受理しない(君の娘たちのために)」と通知している。

(文:アルベルト・ロメロ・バルベーロ/翻訳・序文:江間慎一郎)

【了】

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top