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日本代表 8年前

日本サッカーが勝負弱い本当の理由。本田圭佑・釜本邦茂が警鐘を鳴らす、無競争社会という病巣

text by ショーン・キャロル photo by Dan Orlowitz , Getty Images

レジェンド・釜本氏が主張する日本に競争力がない理由

「私はいつも言っていることだが、日本と欧州の人々の根本的な違いは、農耕民族と狩猟民族の違いにある」と日本代表の歴代最多得点者は主張した。

「ゴールを決めて試合に勝とうという強いモチベーションを持った、本田圭佑のような選手たちが何人も出てこなければ、結局世界の強いチーム相手に勝つことはできない。

 欧州でも南米でもアフリカでも、彼らはもともと狩猟民族だった。自分の家には何も持っておらず、獲物を探しに行く必要があった。今ではなく大昔の話だが、そういう血が彼らには流れている。

 一方で日本人は、自宅の庭や周辺の畑で野菜などを育てることが可能だった。雨が水分をもたらし、太陽が栄養分をもたらしてくれた。今日天気が悪くても明日には大丈夫、という気候だった。

 しかし欧州などの人々は、(弓矢を構える仕草をしながら)いま射たなければ次はない。自分自身で狙っていかなければならない。それが農耕民族と狩猟民族の違いだ。根本的に考え方や、流れている血が違っている。日本にいるそういう選手は、本田圭佑などのごく一握りだけだ」

 この深く根ざしたメンタリティーに加えて、日本の若者には競争が促されていないという事実もマイナスに働いていると釜本氏は感じている。

「負けることがあれば、もっと向上したいと思うことができる。しかし日本の子供たちは、勝つことや負けることについてあまり本格的に考えてはいない。日本の運動会を考えてみれば、競争はあっても勝者も敗者もいない。日本の子供たちはそういうふうに育てられていて、20歳や25歳の大人になる頃にはその考え方がもう染み付いてしまっている。

 勝った時には称賛されるべきだが、負けた時には悪いところを注意されるべきだ。そうでなければ欧州のトップチームと争っていくことはできない」

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