フットボールチャンネル

[INTERVIEW]宇佐美貴史―世界で勝つための武器の磨き方―

text by 西部謙司 photo by Kenji Yasuda

オンを生かすために問われるオフの質

――代表の雰囲気はいかがでしたか。

宇佐美 楽しかったです。プロになって1、2年目のときのワクワク感がありました。G大阪とは立ち位置も役割も違うし、代表ということで注目度も違う中で、いいモチベーションでやれました。

――遠慮とかもなく? 本田や香川に合わせなきゃいけないとか。

宇佐美 全然ないです。ビビりもない。だからこそ合わせられるんじゃないですか。上手い選手同士なら細かいフィーリングも合わせられるものです。遠慮してやるといいプレーにならないし、そんなことすら考えていません。

――全然遠慮しないというのは性格ですか、それとも経験?

宇佐美 性格もありますけど、バイエルン・ミュンヘンにいたときにリベリーやロッベンと練習していたのは大きかったかもしれません。世界のトップレベルを間近で見たことで、そこから逆算して何をすればいいのかがわかりやすくなりました。また、彼らの基準で考えるようにもなった。だからこそ代表でも物怖じせずにできた。

――世界のトップはどうでしたか。

宇佐美 トレーニングでも圧倒的でしたね。100パーセント、120パーセントやる、練習から。リベリーとロッベンはとくにそうでした。

――ところで、体脂肪が多いと報道で取り上げられていましたが。

宇佐美 すでに解決策は見出しています。もともと低いほうではなくて、十代のころから13パーセントを切ったことがなかった。今年から体重と体脂肪の管理を徹底するようになったので、この3ヶ月でも2パーセントは落ちています。その途中の段階での数字が出て、メディアが騒いでいるだけで。

 僕としては6月に体調管理の成果を見せつけられるので、騒いでもらってむしろ有難いと思うようにしていますけど。

――奥様がそのあたりの専門的な知識(編集部注:ジュニア野菜ソムリエ)があるとか。

宇佐美 食生活に関してはほぼ任せきっています。助かりますよ。おかげでキレもコンディションも良くなっています。

――今後の課題は何ですか。

宇佐美 オン(ボールを持っているとき)をやれるのはわかっているので、それを生かすためにもオフをどれだけできるかですね。いまのところオフ・ザ・ボールで引き出して点をとれていますし、いい感触を持っています。90分間、攻守に貢献することも課題です。

――これまではオフをそんなに考えていなかった。

宇佐美 それはあります。オンでやれるぶん、それにこだわっていたところもありました。今年、長谷川(健太)監督や和田(一郎)コーチと話して、もっと得点するにはオフをプラスしていこうと。いただいた教材も見ながら、オフの駆け引きを自然にできるようになってきた手応えはあります。

――プレーしていても楽しくなりますね。

宇佐美 幅ができましたね。ワンタッチ、ツータッチのゴールも増えましたし、このまま継続していけばオフが武器になっていくと思います。

1 2 3 4 5

KANZENからのお知らせ

scroll top