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EURO2016 8年前

英国勢4ヶ国が揃い踏み。反骨の牙を剥いた無所属守護神と“一流未満”のストライカー【東本貢司の眼識】

シリーズ:東本貢司の眼識 text by 東本貢司 photo by Getty Images

解雇された八面六臂の守護神と大役を任されたストライカー

ヴォークス
所属したクラブでは控え続きだったウェールズ代表FWサム・ヴォークス【写真:Getty Images】

 裏を返せば、そんなマッガヴァーンを「1番」に固定して予選から使い続けた監督マイクル・オニールの大ヒットだともいえる。すでに、プレミアリーグのいくつかのクラブや、一部海外(イタリア、スペイン)からの問い合わせが、ハミルトン(!)宛てに殺到しているという。次なるウェールズ戦では、ベイルの大砲、アーロン・ラムジーの機関銃射撃にいかに立ちはだかるか、ますます楽しみである。

 そのウェールズは、この本大会に入ってさらにたくましく、かつ、まるで常連のように落ち着いたしぶとい戦いぶりが目立つ。さすがに一時はFIFAランキング・トップ10に入っただけのことはあるというべきか、がぜん戦力層に厚みと底力が備わってきて頼もしい。

 ミラン・バロシュ(チェコ:2004年)以来の「毎試合得点」をマークした大黒柱ベイルは「かつてなく最高のプレーができている」と胸を張るが、むろんそれを支えているのは、炎のスピリットとアイスクールな連携を自在に使い分けるラムジーとジョー・アレン。多分、ここまでに限れば、この中盤コンビ両輪の貢献度は今大会随一だと言い切ってもいい。

 そしてここでも、マッガヴァーンやイタリアに引導を渡した伏兵スコアラー、ロビー・ブレイディー(アイルランド)同様、監督コールマンが密かに目をかけてきた“隠し玉”が貴重な仕事をしている。

 現在バーンリー所属のストライカー、サム・ヴォークスだ。実はこのヴォークス、キャリア開始のボーンマスからウルヴズに移って以来、ずっと準レギュラーから脱しきれず、やっとこの数年でバーンリーのエース格に這い上がってきたばかり。そんな“一流未満”を、コールマンは満を持してロシア戦にぶつけ、ベイルやラムジーの動きをより自由に引き出す大役を任せたところ、これが見事に当たったのである。

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