豊川の眼に浮かんだ悔し涙
一方で十分なアピールができなかった選手もいた。圧倒的なスピードとポリバレント性を評価されて声がかかった伊東純也がその1人だろう。本人は「普通に間で受けてチャンス作れていたので、(スピードを活かすプレーを)やるまでもなかったというか。そういう場面がなかった」と語ったが、中途半端な位置取りと連携不足がプレーに影響してしまっていた。
そしてもう1人、悔しさを前面に押し出し、ミックスゾーンで眼に涙を溜めながら話していた選手がいた。
「国内の合宿は全部怪我で辞退してきましたし、ラストでやっと出れました。何かしらアピールして結果を残したかったですけど、それが残せなかったというのは本当に悔しい」と語る豊川雄太だ。「上手い選手はいっぱいいますしね。裏にどんどん抜けて攻守にアグレッシブにというのは価値が高いと思いますし、そういったところをもっともっと出せればよかった」と途中出場だった南アフリカ戦を振り返る。
今年1月のAFC U-23選手権では“23人目”としてメンバー入りし、スーパーサブ的な役割で大きな仕事をしたが、現状の立ち位置が厳しいことは豊川本人が一番理解している。アジア制覇に貢献した活躍を「それはみんなのものです。少しでもこのチームに貢献できたことは嬉しい」と語ったが、言葉の端々からは悔しさがにじみ出ていた。